作家インタビュー第34回 あさおきたんさん

インタビュー作家座談会

ニコリのケータイパズル数独やnikoli.comに問題を作っていただいている作家さんにあれこれ聞いてしまうコーナーです。今回のゲストはあさおきたんさん。あさおきたんさんは、30歳、男、独身。アメリカのニューヨーク州バッファローで、言語学を学ぶ学生です。 昔からニコリに投稿しているベテラン作家なのです。

(金)どんな子どもでした?

あさおきたん物心が付いたとき、家にタングラムとか、ラッキーパズルとかペントミノなどがたくさんありました。両親は特にパズル好きというわけではないんですが、かしこい子になって欲しかったからあったんでしょうかね。両親は、新聞に載っているクロスワードや数独などのパズルを解くくらいです。幼稚園のころは、タングラムなどで遊んでいました。本当にいろいろありました。組木パズルとか、ルービックキューブとか。それらで遊ぶのが大好きでした。小学生のときは迷路を作ってました。曲がれるところでは必ず曲がらなければいけない、とかの特殊ルールがある迷路です。今考えるとペンシルパズルっぽいですね。迷路用のノートを作って、いろいろなルールで何作も何作も作りました

(金)ニコリを知ったのはいつごろ?

あさおきたんパズル通信ニコリを買ったのは中学2年のとき、48号からです。たまたま池袋の書店で見かけて買いました。理由は覚えていないんですが、なんか面白そうだと思ったんでしょう。波書房から出ていたニコリ編の迷路の本『迷路で行こう』は持ってたんですけど、ニコリという雑誌があることは認識してなかったんですね

(金)最初にパズル通信ニコリを買ってどう思いました?

あさおきたんいきなり、オモロパズルが面白いと思いました。ルールを組み合わせたら面白くなったり、面白くなくなったりするじゃないですか。どうしてそうなるのか、興味を引きましたね。オモパ以外のパズルも解いてました。最初のころは、ことごとく解いてました。言葉系も解いてましたし。バックナンバーも手に入るだけそろえました

(金)相当ハマったんですね。なんでバックナンバーまで買ったんですか?

あさおきたんオモパの歴史を知りたかったというのが大きいですね

(金)投稿を始めたのはオモパからですか?

あさおきたんそうです。最初の投稿はプッテリアです。初投稿が初掲載でした。中2のときに考えてすぐ投稿して、中3のとき載りました。オモパが好きだったんで、自分で作ろうと思うのは自然な流れだったと思います

(金)初投稿が掲載されたっていうのはすごいですね。その後もオモパの投稿が続いたんですか?

あさおきたん次はカッテリアが載りました。プッテリアの改造なんですが、改良じゃなくて改悪でしたね。その後も、ペイントエリア、ホワイトリンクなどなどたくさん載りました。ボツになるより、掲載されたほうが多いんですよ。ぼくの作ったパズルの中の、いちばんの出世作は美術館ですね。美術館の次はやじさんかずさんかな

(金)そうだった。あさおきたんさんは、美術館を作った人だったんですよね

あさおきたん美術館以降はそんなにオモパの投稿はしてないんですけど、すべてボツになってるんですよ。なんででしょうね

(金)オモパを作るときは、どこから発想するんですか?

あさおきたん先にひとつのルールを思いついて、そこから考えます。やじさんかずさんのときも、ぬりつぶしたら無効になるというルールを思いついてからいろいろ考えたんですけど、同級生だったとなりのトロロさんが矢印というアイデアを出してくれて完成形にたどりつきました。美術館も、まず照明を思いついて、それをどう表すかを考えて、ああなりました。美術館は照明を思いついてから、わりと早い段階で、ルールが固まりました。投稿した次の日に、次々と上級手筋を発見して、このパズルはいける、と思いました

(金)オモパ以外の投稿はいつからですか?

あさおきたんけっこう早い時期に橋をかけろが載ってます。特に橋をかけろに特別な思い入れがあったわけではないんですが。あのころは何でも作ってみてました。でも、毎号定期的に投稿するって感じじゃなくて、気が向いたときに送ってました

(金)高校生のときに、テレビの高校生クイズ選手権で優勝しましたよね。クイズも好きだったんですか?

あさおきたんあれは、たまたま助っ人で参加したのが優勝しただけなんですよ。それほどクイズ好きってわけでもありません

(金)優勝賞品は海外旅行でしたっけ?

あさおきたんそうです、賞品でパリとルクソールに行ってマクドナルドでハンバーガーを食べました。世界の名所で、マクドナルドが写り込んでいる写真だけ集めた写真集があれば面白いと思いましたね

(金)大学で途中転部したんですよね

あさおきたんそうです。大学は最初理学部に入ったんですが、4年をやって卒業せずに、言語学がやりたくて文学部に転部しました

(金)なんで言語学をやりたくなったんでしょう?

あさおきたんぼくにとっては、いきなりではないんです。元々興味があって、そっちのほうがいいのかなと思って。昔から、ぼくオリジナルの架空の言語を作ったりしてましたし、言語は好きだったんです

(金)文学部の言語学研究室でなにをやろうと思ったんですか?

あさおきたん今やっていることとは違うんですが、最初は、意味をロジックで書くことに興味がありました。形式意味論という分野ですね。自然言語のこの部分がなにを含意するのかをロジックに落としていくのがあるんです。このあたりは、オモパと通じるところがありますよ

(金)ふうん。その後修士を取って、ドクターコースの途中で休学してアメリカ留学中ですか。今の研究分野は?

あさおきたん心理言語学です。脳がどのようにプロセスしているのかに興味が移ってきているんですね。脳が言語をどのように処理しているかを研究しています

(金)しばらく投稿から遠ざかっていた時期がありましたよね

あさおきたん定番のパズルも作ってはいたんですが、ずっと自分はオモパの人だと思っていました。だけど、オモパの依頼をもらうことはないですよね。依頼をもらうのは定番パズルなんですよ。そっちはそんなに得意じゃないと思っていたんで、あまり送らなくなってしまいました

(金)なんで復帰したんですか?

あさおきたんバッファローに住んでいて、遊びに行くところが少ないからですかね。パズル作りは気分転換にもなりますし。気分転換して原稿料がもらえたらうれしいじゃないですか(笑)

(金)どんなパズルが好きですか?

あさおきたんまだ誰も考えていないパズルです

(金)ほかの作家が作ったパズルは解いてますか?

あさおきたん解かないことはないですよ。nikoli.comの問題は大部分残ってますけど。パズルは解くより作るほうが好きなんですね。それも、既存のルールの問題を作るより、新たなルールのパズルを作るほうが好きですね

(金)あさおきたんさんにとって、理想の新たなパズルは

あさおきたんルールが単純で直感的にわかる。自分でも予想しないような上級手筋が次々出てくる。そんなのがいいです。美術館がまさにそうなんですけど。囲碁のようなものがいいですね。ルールは最低限で、ストラテジーは限りなく出てくるようなのが

(金)既存のパズルを作るときに気をつけていることは、何かありますか?

あさおきたん見た目にはわりとこだわります。こだわりすぎて完成しないこともよくあるんですが。見た目も一部分なんですが、なにかこだわりがほしいです。美術館とかぬりかべとかは、なにも考えなくても一応完成させられるんですが、こだわりのない問題は、自分では納得できないですね。ひとつのテクニックですけど、ちょっとだけ気に入った場面があったら、意識的に繰り返すと、ずいぶん楽しい問題になると思います。自分が楽しければ、たぶん解く人も楽しいと思いますね

(金)では、解く人を楽しませるように作っている部分が多いのですか?

あさおきたんうーん、意図的に楽しませよう、という部分はそんなに多くないですね。どちらかというと、自分がいいと思うように表現することが多いかな。ぼくにとっては、パズルはエンターテインメントよりアートに近いかもしれません

(金)では最後の質問。あさおきたんさんのパズルを解いてくれる人へのメッセージをお願いします

あさおきたん解いて気に入ってもらえたらうれしいです。ぼくの意図は伝わるんじゃないかと思います。伝わらなければ、熱意がこめられていなかった私の負けです(笑)


インタビュー : 2011年7月 2011年8月11日公開