作家インタビュー第10回 宮崎晋一さん

インタビュー作家座談会

宮崎さんは31歳独身男性。顔は内緒。職業も内緒だけど、事務のお仕事だそうです。大学では心理学を専攻。社会心理や認知に興味があったそうですが、大学の勉強はものにならなかったんだって。

(金)パズル的なものは小さいころから好きだったのですか?

宮崎晋一子どものころから頭を使うことは好きでした。小学生のころは本を読むのが大好きでしたし、将棋なんかも好きでした。あまり強くはなかったんですが

(金)ペンシルパズルを知ったのはいつごろ?

宮崎晋一小学6年生のころ通信教育をやっていて、そこの教材にシークワーズナンスケなどが載っていたんです。パッと見た瞬間、いかにも僕が好きそうだな、と思いました。やってみたらやっぱり面白かったですね。そのパズルを提供していたのがニコリで、パズル通信ニコリのプレゼントがありました。そこで初めてニコリという雑誌の存在を知りました。その1年後ぐらいに、中学の数学の先生がニコリ30号をやっていて、それ買いたいんですけどどこで売ってますかと聞いて、初めてニコリを買いました。31号(1990年9月発行)でした

(金)中学1年で解けました?

宮崎晋一31号はかなりボロボロになるまで解きました。ほとんどの問題に手を出しましたが、難しい数独やカックロ・ザ・ジャイアントは、当時は解けなかったですね。でも、マスに小さく候補の数字を入れたりして、悪戦苦闘して解こうとした跡が残ってました。あっというまにハマりました。中学3年のころには、そのときに手に入るバックナンバーを全部買ってましたよ

(金)どうしてパズルを作り始めたんですか?

宮崎晋一当時ニコリは季刊でした。今ほど別冊も出てませんでしたし、中学生には3カ月は長すぎたんですよ。解き終わっても、次が出るまで待ち遠しくて、それなら自分で作ってみようかと思ったんですね。最初に作ったのはスリザーリンクでした。最初に載ったのはニコリ34号(1991年6月発行)の四角に切れとスリザーボックス(消えていったパズルです)の2本でした

(金)スリザーボックスとは懐かしい! 当時は鉄田一耕助というペンネームでしたね。何か由来があったんですか?

宮崎晋一いやあ、今となっては何であんなペンネームにしたのか自分でもわかりません(笑)

(金)投稿を続けて、そのあとしばらくブランクがありましたが、理由があるんですか?

宮崎晋一高校受験のときは一応受験勉強もしたんですけどニコリもやり続けてて、それでも志望校に合格できました。大学受験のときもパズルを作り続けてたんですけど、現役では受からず浪人してしまいまして。また、ちょうどそのころからだんだん掲載率が悪くなってきて、これはやめろということだなと思ったんですよ。それで、家にあったニコリを掲載誌も含めて全部処分して、きっぱりやめることしました。今思うともったいなかったです。それから大学3年までは、ニコリはまったく買っていません。でも、大学3年のとき本屋で見かけて懐かしくなって買ってみたら、やっぱり面白かった。作ってみても面白かった。それからは続いています

(金)パズルのどこが面白いんでしょう?

宮崎晋一筋道を立てて頭を使うところが楽しいですね

(金)宮崎さんは何でパズルを作るのですか?

宮崎晋一単純に楽しいというのが大きいです。数少ない取り柄のひとつだ、ということもありますけど(笑)。自分の作ったパズルで他人を楽しませることができるのがうれしいですね

(金)宮崎さんにとって、パズルとは何?

宮崎晋一解き手としては娯楽です。作り手としては自己表現ですね

(金)パズルを作るときに心がけていることは?

宮崎晋一何かしら、ここが面白いんだ、と具体的に説明できるような問題、ただ解けちゃうというだけの問題ではないもの、を目指しています。僕は試行錯誤的な難しさが好きではなく、論理的に解決していく難しさが好きなんです。僕が好きだと思うところを伝えられるように心がけています

(金)過去の会心の作、というのはありますか?

宮崎晋一以前のPCサイトの早解き問題になったひとりにしてくれと、パズルBOX5に載ったフィルオミノです。どちらも作っている最中から、ばっちりまとめられればいい問題ができる、と思っていました。なにか大きな仕掛けがあって、いったん使った仕掛けをもう一度別の角度から使うような問題がひとつの理想なんですけど、ひとりにしてくれではその理想が表現できたと思います。フィルオミノの方は作っているうちにテンションが上がっちゃって、電車の中でまでああでもない、こうでもないと検討していたことを覚えてます。いったん完成したあとでも、もっとよくなる、このネタでこの展開はもったいない、このネタならちゃんと作りたいと思ったので、どちらも何回か作り直しました

宮崎晋一さんの会心作
17x17サイズ、難易度アゼンのひとりにしてくれ
問題をはじめから解く 問題を解く どんなふうに解いたか見る こたえを見る

(金)そこまで記憶に残っている作品なんですね。その作品を越えるものはできますか?

宮崎晋一越えたいですね。越えるべく努力中です

(金)いい問題を作るコツのようなものはありますか?

宮崎晋一いろいろな人の問題を解くことですかね。人のパズルを解いて面白いと思う手筋があると、僕がこの手筋を使うならこうなる、ということを考えます。どう見せるか、というのは重要だと思います

(金)宮崎さんの夢は?

宮崎晋一ペンシルパズルの文化的地位の向上、みたいなことを考えています。今は広く薄く提供しているように思えるのですが、もう少し深みがあってもいいのではないかと。現状では、自分は面白いと思う、といったレベルの議論にしかなっておらず、普遍的な面白さに関する考察がなされていないように感じます。パズルは芸術とエンターテインメントの双方を内包していると思いますが、今の時点ではエンターテインメントの割合が多いと思います。僕は芸術の方向を目指したいんです

(金)ニコリのポリシーとしてペンシルパズルはエンターテインメントです。わかる人だけを相手にしたり、理解するためにたくさんの勉強をしなくちゃいけない、というようなことになると単純には楽しめなくなっちゃうかも。だけど、ペンシルパズルの芸術性を追求していく、ということもどこかではあってもいいですよね。では最後に宮崎さんの作品を解く方へのメッセージを

宮崎晋一なんかいろいろ言ってしまいましたが(笑)、何となくでもよいので普通に楽しんでいただければそれでうれしいです。でも、面白かったと感じたら、どこがどのように面白かったのかを少しだけ考えてみていただけると、より一層パズルを楽しんでいただけると思います


インタビュー : 2008年1月 2008年3月9日公開