作家インタビュー第8回 ゆーたんさん

インタビュー作家座談会

ゆーたんさんは28歳の会社員。何かを作っているエンジニア。男性。工学修士。パズル以外の趣味は海外旅行とスキー。最近急に太ってきたのが目下の悩みだとか。

(金)ゆーたんというペンネームは、単純に子どものころに言われていたニックネームではないんだって?

ゆーたんそうなんです。小学校2年生のころ、某クイズ番組が大好きだったんです。あんまり好きだったんで、友だち2人と問題を作って出し合い、探偵となってその問題を解いていたんです。そのときの探偵の名前として考えたのがゆーたんなんです。友だち2人とオレの名前から一文字ずつ取ったんです。因みに『ー』は人の名前から取っていません。(笑)自分で付け加えました

(金)へえ、そうなんですか。ゆーたんさんは小学生のころからニコリに投稿してたけど、ニコリを知ったのはいつ?

ゆーたん小学校2年生です。母が美容院に行くのについて行ったらヒマだったんで、美容院の下の階にあった本屋さんに行ったんですよ。例の某クイズ番組の本が出ていたはずだったので、その本を探しに行ったんです。お目当ての本のとなりに変な本があったんです。ナンスケとカックロのペンシルパズル本でした。カックロは表紙が気持ち悪かったので買わず、ナンスケはルールがなんとなくわかったので買いました

(金)小学校2年生でペンシルパズル本ですか。全部解けました?

ゆーたんたぶん最後までは解けてないんですけど、面白かったです。次に、パズルでもやってみるか(昔ニコリが編集した本)の3を買いました。ナンスケ目当てでした。その中に数独やカナオレや気持ち悪いカックロもあったので手を出してみました。ナンスケの次にハマったのはカナオレでしたね。ルールがわかりやすかったし、手が動くんですよ。気持ち悪いカックロは手が動かなかったんで最初は好きではなかったんです。でも、この会社はどうも気持ち悪いカックロに力を入れているようだから避けては通れないかなと思ってがんばって解きました。慣れれば面白いんだけど、初心者にやさしくないパズルだなあと子ども心に思いましたね。そのあと、33号(1991年3月発行)からパズル通信ニコリを買ってます

(金)パズルをつくりはじめたのはどうして?

ゆーたん前にもふれましたが、某クイズ番組をまねた問題を作って出し合っていたという経験があったので、問題を作る、というところのハードルは低かったんです。問題を作ることの楽しさを知ってましたから。作って送ったら38号(1992年6月発行)に載りました。スリザーリンクとケイスケでした。小学校5年生のときです。それから大学に入るまでは毎号投稿して毎号載りました

(金)当時は私がニコリの編集長でしたね。投稿は今より全然少なかったし、ゆーたんさんはたくさん載りましたよね

ゆーたんそうですね。小中学生にはとてもありがたい原稿料で、中学生のときにはニコリ貯金でコンポを買いましたよ。いやいやありがとうございました(笑)

(金)そんなに載ってたんだ。そのころのパズル作りの原動力はお金?

ゆーたんそれももちろんあります(笑)。でも、全国でオレの問題を解いてくれる人がいっぱいいるんだ、という思いが力になりました。作ってて自分が楽しい、というのがパズルを作る上での一番の原動力ですね。

(金)海外旅行はあちこち行ってますよね

ゆーたんそうですね。タイ、ネパール、韓国、中国、トルコ、ベトナム、スリランカ、ベルギー、オーストリア、ハンガリー、ペルーぐらいでしょうか。ほとんどひとりでバックパッカーとしての貧乏旅行です。ひとりがいちばん面白いと思います。何でも自分でしなくちゃならないのも楽しいし、謎のハプニングもひとりのときの方が起こりますね。思わぬ親切を受けるというようなこともひとりのときですし

(金)海外旅行中にパズルを作ったりするの?

ゆーたんどうしてもバスや飛行機などの待ち時間ってありますよね。そんなとき、歩き回ったりすることもあるんですけど、パズルを作ることが多いですね。話し相手はいないし、すごく集中して取り組めるんです。大きい問題を作るには、まとまって集中できる時間が必要だと思うんですけど、日本では雑事に追われてなかなか集中できないんですよ。海外旅行中の待ち時間は大きい問題を作るには最適です。nikoli.comのボツ箱に載っているぬりかべは、スリランカでバスを待ちながら作ったんですよ

(金)へえ、メイドインスリランカのパズルだったんだ。世界を旅して、パズルに対する考え方は変わった?

ゆーたんはい、大きく。タイに行ったとき、ニコリと同じサイズのパズル雑誌を見つけたんですよ。ニコリの事務所に原稿を届けたときに持って行ったら、そこに居た作者のひとりがその本を見て、この問題はニコリ○号に載っていた○さん作の問題だ、と言ったんです。ニコリを見てみたら本当にその通りだったんですよ。ニコリから見れば、海外でパクられた困ったことですよね。でもオレからすると、オレのパズルが世界で解かれることもあり得るんだ、と思いました。小中学生のころ日本全国のニコリ読者相手だったのが、全世界が相手に広がったんですから。まだ世界に数独ブームが来る前のことなんですが、トルコに行ったとき、パムッカレの入り口の切符切りのおばちゃんが新聞に載ってたナンスケを解いていたんですよ。小学校のとき初めてナンスケを解いたときのことを思い出しました。パズルは絶対に世界中の人が楽しめる、と確信しました。そのあとニコリがwebサイトを立ち上げるときに、(金)さんが世界の人々にニコリのパズルを発信する、と言ったのを聞いて、とても共感しました。今は世界中で数独が解かれていますよね、ニコリのパズルも海外で出版されたりしていると聞いているので、オレの問題も世界中の人に解かれているのかと思うと感無量ですよ

(金)世界を意識するようになって、パズルの作り方は変わった?

ゆーたん変わりましたね。初心者にどう伝えるかを考えるようになりました。パズルに慣れていない人は、最初はどう取り組むのかを考えるようになりました。パズルにまったくふれたことのない人にも楽しんでもらえる初級問題を作りたいですね。難しい問題はまったく別の考え方ですけど

(金)ゆーたんさんにとっていいパズルとは?

ゆーたん誰もが解けるパズルがいちばんだと思います。世界のみんなに解いてもらいたいから、そういうカンタンな問題を作ることを自分でも楽しめます。ひねくれた問題を解いたりも作ったりするのも、個人的にはきらいじゃないんですけどね

(金)40年後の夢は?

ゆーたんフィンランドで暖炉にたきぎをくべながら、純粋にパズルを解いて楽しんでいる

(金)いいですねえ。では最後にパズルを解いてくれるみなさんにメッセージを

ゆーたんなるべくたくさんの方に楽しんでもらいたいですね。解いている一瞬だけでも、みなさんに娯楽を提供できれば満足です


インタビュー : 2007年11月 2008年1月20日公開