作家インタビュー第15回 あぶら虫さん

インタビュー作家座談会

あぶら虫さんは30歳。男性。職業は会社員。いつでも濃度90%の酸素が吸える環境で働いているんだって。そのせいかどうかはわかりませんが、肺年齢は23歳なんだそうです。

(金)変わったペンネームですけど、由来は?

あぶら虫高校生のときニコリの集まりに出て、そこで点取り占いを引いたんです。出たのが『あぶら虫のようなやつだ 3点』だったんですよ。そのときからペンネームをあぶら虫にしました。この点取り占い今でも持ち歩いているんですよ。ほら、もう12年も経ってるのに保存状態良好でしょう(笑)

(金)ほんとだ。すごいね。ニコリのパズルとの出会いは?

あぶら虫子どものころパズルはほとんどやっていないんですが、中学校1年生のとき同級生におらけくんがいて、彼にニコリを教えてもらったんです。おらけくんのインタビューにもありましたけど、彼とお互いに問題を出し合って、解いてました。そのころはスリザーリンクにはまってましたね。そのころ、あんまり難しいスリザーリンクばかり解いたり作ったりしてたんで、今のボクのスリザーリンクの感覚は、ちょっと難しい方にずれちゃってるかもしれません

(金)あぶら虫さんにとってパズルとは何?

あぶら虫趣味のひとつですね。解いていても作っていても楽しいですね。それに、人とのつながりがもてるものです

(金)つながり?

あぶら虫たとえばおらけくんなんかの個人的なつながりなんですけど。その人たちがいてくれて、活動してくれているからボクもがんばろうっていう気になります。ボクの問題が載っているとその人たちに、ああ、あぶら虫は元気なんだな、と思ってもらえますし。ひとりでやってると目移りしちゃうけど、仲間がいるとパズルに引き戻してくれるというメリットもありますね

(金)なるほどね。ところで、パズル以外の趣味は?

あぶら虫フットサル、野球、バスケを同好会でやってます。体を動かすのが好きなんです。走るのは好きじゃないんですけど、ボールがあれば走っているのは楽しいですね。スポーツは観戦するのも好きです。あとはビリヤードや読書。ミステリーが好きです

(金)インドア派の代表のように思われるパズル好きにも、体を動かすのが好きな人も多いんだよね。パズルはどこで作ってますか?

あぶら虫最近は通勤電車です。今は会社まで片道1時間座って通ってるんで。その1時間で小さいのならいくつか作れるし、大きいのも調子がいいとひとつ作れます

(金)作るのは紙と鉛筆?

あぶら虫そうです。ボク、パソコンでは作れないですね。作っている途中の盤面にいろいろメモするんですよ。たとえばぬりかべで、ここは4以上というときは正の字で4まで書いて、5以上になれば増やしていきます。5以下が入るときは漢数字で五と書いておくとか。パソコンで、そういう機能がついたエディタがあれば考えますけど。それにしろ、キーボードやマウスでは、はじっこまで進むのが遅いのがいやですね。やっぱりペンがいいです

(金)パズルを作るときに気をつけていることは?

あぶら虫自分が面白いと思うものを作ろうとします。趣味なんで。仕事だと自分が望む方向じゃなくても、がまんして求められることをしなければいけないじゃないですか。ボクにとってパズルはそうじゃなくて、自分が面白いとか楽しいとか思うものを自由に作ることができます。だからパズル作りは楽しいんですよね

(金)それはそうですね。では、どういうパズルを面白いと思う?

あぶら虫ひとつは、見た目です。かたちがきれいだったり、数字が統一されていてきれいだったり。もうひとつは解き味のいい問題です

(金)解き味がいい、といってもいろいろあると思いますが、あぶら虫さんのおすすめは?

あぶら虫同じ解き筋を効果的に使っている問題が好きですね。ひとつのパターンをいろいろな場面でうまく見せられると、やられた、と思います。それと、うまいまぎれを使っている問題もいいですね。これは、こっちかこっちかどっちかなんだけど、そこがなかなか決まらないといった、解く人をうまくじらす感じですね。小さいサイズの問題では、こういう面白さを表現するのは難しいんですけど

(金)ほかの人が作ったパズルに影響されてる?

あぶら虫最近は影響されないですね。nikoli.comの問題はよく解いていて、面白い問題も多いと思います。だけど、自分が作るときの基準を変えようとは思いません。ぬりかべに関しては、ひとの意見で自分の意見を変えることもないですね。それだけぬりかべには自信を持っています。とりあえずなんでも作れるんですけど、ぬりかべ以外のパズルには自信は全然ないです(笑)

(金)なんでぬりかべに自信があるんでしょう

あぶら虫自分が面白いと思うものを作ったら、面白いと言ってもらえたんですね。面白いと言ってもらえて、それがうれしくてまた作る。たくさん作ると、作る技術も上がっていくんです。ぬりかべは修正の難しいパズルでもあるんですけど、直し方もうまくなりましたよ(笑)

(金)なるほどね。ではあぶら虫さんにとっての理想のパズルとは?

あぶら虫展開が想像できるパズルもいいと思うんです。まったく想像できないように進んでいくのもいいと思います。でも、こう進むんだろうなと想像できて、それを裏切ってくれるパズルがいちばんいいですね。ただ、こう解けるんだろうなと想像して、その通りに解ける問題がないと、想像を心地よく裏切る問題はないんですよね。セオリーがあってこそ、セオリーを破れるんですね。ボクとしてはそういう『セオリーを破る問題』を作れるといいと思います

(金)パズル作りの原動力は?

あぶら虫解いてもらえると思うからです。当然、作るのが面白いというのはありますけど。解いてもらえるあてがなければ、パズルを作るのにも飽きてしまうと思います。その点、ボクはすごく幸せな環境にいると思います

(金)では、30年後には何をやってる?

あぶら虫ビリヤード台がある家に住んで、パズルやってます。パズルは解いてるだけじゃなくて作ってるでしょう

(金)では最後に、解いてくれるみなさんへのメッセージを

あぶら虫ボクは趣味で作っているんで、気が向いたときにつきあっていただければうれしいです。ボクが面白いと思うように作っているんで、それを解く人に感じてほしいんです。だけど、無理にくみ取ってもらえるようにではなく、自然に伝わるような問題を作るようがんばります


インタビュー : 2008年6月 2008年7月24日公開