作家インタビュー第24回 gori.shさん

インタビュー作家座談会

gori.shさんは30代前半の独身男性。プログラマーです。

パズルの早解きが得意な作家さんで、数々の早解き大会で活躍されています。今回はそのあたりのこともインタビューしてみました。

(竹)まずは、パズルとの出会いから教えてください

gori.sh記憶に残っているのは、小学校の低学年のころです。父がパズル好きで、長い休みのときにパズルの本を一冊買ってきて解いていました。それを一緒に解いたのが最初です。そのうち、同じ本をわたしの分とあわせて2冊買ってきてくれるようになりました

(竹)どんな種類のパズルの本でしたか?

gori.shクロスワードやスケルトンといった言葉系のパズルが中心でした。数字のパズルは当時まだあまり出回っていなかったと思います

(竹)ニコリのことを知ったのもその流れですか?

gori.shはい。父が買ってきてくれました。中学生のころ、年でいうと1990年の冬休みだったと思います。一発でハマりました。それまで解いてきたパズル雑誌とは全然違っていましたね。問題の投稿もすぐに始めて、翌年の5月(『パズル通信ニコリ』34号)にナンバーリンク(同じ数字どうしを線で結ぶ定番パズル)が載りました

(竹)自分で問題を作って送ろうと思ったきっかけは何でしょうか

gori.sh1冊解き終わって、次の号が出るまでまだ時間がだいぶあって、待てなかったんです。オモパのコーナー(新しいペンシルパズルのルールをみんなで考えるコーナー。毎号、新しい『オモロパズル』略して『オモパ』が生まれています)で読者が積極的に参加している印象を受けたので、自分も参加できそうだと思って作ってみたらできてしまいました。以前からパソコン雑誌に自作プログラムの投稿をしていたので、投稿することに抵抗がなかったのもあると思います

(竹)なるほど。ところで、最初に載ったパズルはナンバーリンクなんですね。ナンバーリンクが好きだったんですか?

gori.shそうですね。ニコリで最初にハマったのはナンバーリンクです。理詰めで考えていくだけではどうにもならないことがあるのがよかったです。でも、そのあとすぐに理詰めだけで解けるスリザーリンクが好きになったんですけどね。いまはスリザーリンクがいちばん好きなパズルです

(竹)日ごろの問題作りについてお聞きしたいと思います。どのくらいの量を作られていますか?

gori.sh投稿数はそんなに多くないです

(竹)一問一問にじっくり時間をかけるタイプ?

gori.shそれもありますが、完成しても投稿せずに自分でボツにしてしまう問題が多いんですよ。結果的に投稿できる問題が少なくなるんです

(竹)最近は数独の投稿が多いですよね。なにか理由はあるんでしょうか?

gori.sh作ったあとのチェックにあまり時間をかけずに済むのが大きいです。解けるかどうか、別解がないかどうかといった部分をチェックするためのプログラムを、パソコンで組みました。あとは、『数独通信』(数独がたくさん載っているニコリの季刊誌)の創刊も大きかったです

(竹)投稿問題が採用される可能性がそれだけ広がったわけですからね。ところで、gori.shさんの数独の問題には、最初から明かされている数字の個数が多いものをよく見かけます。なにか意識しているんですか?

gori.sh少なくできないんですよ、ウデの問題で(笑)。序盤の展開を崩したくない、という気持ちで問題を作っているのが関係しているんだと思います。自分が考えた手順でみんなが解けるような問題にしたいんです。別の部分から解けそうなときは、先に数字を明かしてしまいます。他には、バランスにもこだわっています。具体的にいうと、わたしはあるひとつの列だけが先に全部埋まってしまうような問題はあまり好きじゃないので、全体が少しずつ埋まっていく感じにしています

(竹)なるほど。逆に、ひとつひとつの列が順に決まっていく問題が好きな人もいらっしゃいますよね。このへんは個人の好みでしょうか。ニコリではどちらのタイプの問題も出題していますから、どちらの解き味が好きな方もご安心ください、ということで。さて、gori.shさんはパズル作家としてだけでなく、早解きのエキスパートとしても有名です。早解きに目覚めたのはいつごろでしょうか?

gori.shニコリの読者向けに開かれた早解き大会で、優勝したのがきっかけです。それまでは、自分がそんなに早いとは思っていなかったんですよ。いまでも『早く解きたい』という気持ちは、実はあまりないんです。『たくさん解きたい』という気持ちのほうが強いです。たくさん解いているうちに、結果として、早く解けるようになっていたという感じです

(竹)えっ、そうなんですか? あんなに早いのに、自覚がなかったとは驚きです。早くなるために、なにか特訓のようなことはしているんでしょうか

gori.sh特別なことはしていません。問題を数多く解いているだけです。単純に、パズルを解くのが好きなんですよ。ただ、コンピュータのパズルゲームで、タイムアタックをよくやっているのが、関係あるかもしれませんね。特にマインスイーパ(正方形のマスで覆われた盤面から、爆弾の位置を探し出すゲーム)のタイムアタックは夢中でやっています。Windowsに標準でついているマインスイーパの上級を、48秒で解いたことがあります。たぶん日本で3位の記録のはずです

(竹)3位ですか。さすがです! ところで、以前パソコン上でペンシルパズルを解いているようすを見せていただいたことがありますが、よくミスをされていますよね。それなのに、すぐにミスを修正して、小さい問題なら10秒もかからないくらい早く解けるからすごいです。ミスや修正をしつつ、あんなに早く解けるのが不思議です

gori.shミスといっても、論理的な間違いじゃなくて、マウスのクリック失敗とか、ドラッグする位置のズレとかの操作上のミスがほとんどですからね。頭の中では『ここにこういう線を引こう』と思っているんですが、指や目が頭についていけてないんですよ(笑)。だから間違えてもすぐに直せるんです。パソコンでパズルを解く場合には、なるべくスムーズに操作できるように道具にも気を遣っています。特にマウスは重要ですね。気に入ったマウスを3つまとめて買い足したこともありました。生産中止になりそうだったので…今はもう使いつぶしてしまいましたけど

(竹)こだわってますねー。早く解くための秘訣みたいなものはありますか?

gori.sh『ここが埋まったら、あそこも決まる』という部分をなるべくたくさん覚えながら解くことです。短期記憶っていうのかな。たとえば、美術館で『このマスかこのマス、どちらか一方だけに明かりがおける』という場面があったときに、『このマスが明かりだったら、あのマスが照らされるから、別のあのマスが明かりになる』というのがわかりますよね。そういう部分を、10カ所とか20カ所とか、わかったところから覚えられるだけ覚えておくようにします。それで、最初の『このマス』が決まった瞬間に、覚えておいた部分を埋めるんです。それから、数独に限っていえば、あるブロックやタテヨコの列に数字が8個埋まったとき、残りの1個の数字が何であるかを一瞬で見つける能力も重要ですね。数独の早解き以外には役に立たなそうな能力ですけど(笑)。あとは、間違いを恐れないことですね

(竹)うーん、ためになるなあ。ところで、ケータイパズル数独の早解きランキングに参戦される予定はないんでしょうか?

gori.shいまは使っている携帯電話が未対応機種なので参戦できないんです。対応機種で魅力的なものが出れば、買い換えて参戦したいですね

(竹)お待ちしています(笑)。gori.shさんはパズル以外にも多彩な趣味をおもちですよね。立ち食いそば屋の食べ歩きや、東京都内の名所の散策など

gori.shはい。パズル・グルメ・サンポがわたしの趣味の三本柱です。もともとは、見知らぬ町で電車をふらっと降りて、散歩して回っていました。登山道や遊歩道のような特別な場所じゃなくて、ふつうの町を歩くのが好きです。高校生のころから歩いています。最初は、当時よく遊びにいっていた秋葉原や神保町を歩いて回ることから始めて、少しずつ範囲を広げていきました。立ち食いそばは、そのついでに食べていました。特に立ち食いそばが好きだったわけではないんですよ。お金がなかったから、あまり高いものを食べられなかっただけなんです。うまくて安いものならなんでもよかったんですよ(笑)

(竹)そうなんですか。いまでは立ち食いそばの食べ歩き記録を、ご自分のウェブサイトで公開するほどハマっていますよね

gori.sh東京の笹塚で放談会(ニコリが主催している読者の集まり)が開かれたことがありました。高校2年生のときだったと思います。いつものように会場の周りを散歩して、たまたま見つけた立ち食いそば屋に入ったんです。400円のかき揚げそばを食べたんですが、あまりのおいしさに衝撃を受けました。『なんだこれは! 400円でこんなにおいしいそばがあるのか!』と(笑) 当時は、立ち食いそば屋のそばといえばゆで麺がほとんどだったんですが、そこは生麺だったんですよ。立ち食いそばを本格的に食べはじめたのは、それからです

(竹)いままでにどのくらいの立ち食いそば屋を回ったんですか?

gori.sh1140軒前後ですね。東京近辺だと、そろそろ頭打ちです。把握している限りでは、東京23区内で行っていない店があと20軒ぐらいしかないんです

(このあと、同じチェーンの立ち食いそば屋で味がどれだけ違うかとか、どこどこの店の麺の配送元はどこにあるとか、果てはカレーライスやチャーハンの話にまで発展しましたが、都合により割愛します)

(竹)パズルの話に戻りましょう。あなたにとって、パズルとは何ですか?

gori.sh必ず聞かれると思って前もって考えてみたんですけど、答えがわからなかったです。ひとついえるのは、趣味の中では1番だということです。サンポが2番。グルメが3番です。あとは、お金が稼げて、楽しくできればいいかなーといった程度ですね。いまのわたしの実力では、パズルだけで食べていくのはタイヘンなので、飲み代くらいになればいいかなあ、と(笑)

(竹)最後に、解き手のみなさんへのメッセージをお願いします

gori.shこれはちゃんと考えてきました! よく誤解されるんですが、早く解いている人が、問題を楽しんでいないというわけではありません。早く解く人も問題を楽しんでいるんですよ。早く解いても、遅く解いてもいいんです。解いていて楽しいと思うことがいちばん大切だと思います。楽しんで解いていれば、そのうちに早く解くためのコツのようなものが見つかってきます。とにかく楽しみながら解いてください


インタビュー : 2009年3月 2009年4月13日公開