作家インタビュー第20回 Hammyさん

インタビュー作家座談会

Hammyさんは30代の男性。既婚です。コンピュータ関係のサラリーマンだそうです。

(竹)まずはパズルとの出会いから教えてください

Hammyあまり覚えてないんですが、小学生のときに『頭の体操』という本を親に買ってもらったのが最初だと思います。そのあとに迷路が好きになりました。解くだけでは飽きたらず、自分で問題を作っていました

(竹)そんな小さいころからパズルの問題を作っていたんですね

Hammyわかりにくくていやらしい問題ばかり作っていました。ゴールの直前まで素直に進んでいくのに、あと一歩のところで行き止まりになる道を作ったり。妹に解かせて、引っかかって悔しがっているようすを見るのが楽しかったです(笑)

(竹)なるほど、いやらしい(笑)。ニコリのパズルとはいつ出会いましたか?

Hammy中学生のときです。そのころ、立体の巨大迷路がはやっていたんですよ

(竹)ああ、はやっていましたね。木で組まれた迷路の中を、人間が実際に歩いて解くアトラクションですよね。ボクも遊んだことがあります

Hammyええ。千葉に当時『世界最大』とうたわれた巨大迷路があって、何度も通いました。25回くらい行ったと思います

(竹)25回! かなりの常連じゃないですか

Hammy常連でした。でも、世の中の巨大迷路ブームが終わって、閉鎖されることになってしまったんです。その施設にはパズルグッズを販売するコーナーがあって、遊びにいくたびに何か買って帰っていました。閉鎖のときに、常連の人限定で在庫に残ったパズルグッズを分けてもらえることになりました。そのときにもらったのが、ペンシルパズル本のカックロだったんです

(竹)へええ。じゃあ、Hammyさんがニコリに出会えたのは巨大迷路のおかげなんですね。カックロは面白かったですか?

Hammyはい。自分で手筋を発見するのが楽しかったです。3マスの8と3マスの22が交差するところには5が入る、と気づいたときのうれしさはいまでも覚えています。うれしさのあまり、この手筋を使った小さいサイズの問題を作って、周りの人に解かせてしまいました(笑)

(竹)ニコリへ問題を投稿したのもそのころですか?

Hammyいえ、当時は周りに解かせただけで満足していました。ニコリという雑誌があることも知りませんでしたしね。ニコリの存在を知ったのは高校に入ってからです。同じクラスの友人に、ニコリをやっている人が3人もいたんです。紹介されて、どっぷりハマってしまいました。友人が既に問題を投稿していたので、真似して自分も投稿しました。デビュー作は碁石ひろい(古典パズルを元に生まれたニコリのパズル)です

(竹)どんな問題を作っていましたか?

Hammyとにかく難しい問題を作るのが好きでした。ただ、試行錯誤が必要な問題は苦手だったので、難しくても試行錯誤を使わずに解けるように気をつけていました。ニコリを紹介してくれた友人は試行錯誤が好きなようでした。彼は趣味で将棋もやっていたんですけど、それと関係あるかもしれないですね。将棋は相手の手を深く先読みできないと強くなれませんからね。私はアタマの容量が小さいので、あまり先まで読むことはできないんですよ(笑)

(竹)そんなことはないと思いますよ。それからペンシルパズル本用の問題を依頼されるなど活躍されたHammyさんですが、一時期ブランクがありましたよね

Hammy大学3年のころ、バドミントンサークルの活動が忙しくなって、問題作成の依頼を断りました。そのあと何年間か遠ざかっていました。バドミントンに限らず、ハマってしまうとガーッとやっちゃう性格なんですよね。1日24時間じゃ足りなくなるくらいハマってしまって、ほかのことが手につかなくなるんです

(竹)ニコリに戻ってきたきっかけは何ですか?

Hammy結婚です。結婚式で、お互いの生い立ちや若いころの趣味を紹介するスライドショーを流したんです。スライドショーを準備しているときに、むかしパズルを作っていたことを奥さんに話したら、すごいと感心してくれたんです。それでまたパズル熱が出てきました。久しぶりにニコリを見て、それぞれのパズルが進化しているのにびっくりしました

(竹)巨大迷路、高校の友人、バドミントンサークルに結婚式と、波瀾万丈なむかし話をありがとうございました。現在の話に移りたいと思います。ふだん、どんなところでパズルを作っていますか?

Hammy会社の昼休みに作ることが多いです。ケータイパズル数独やnikoli.comの原稿締め切りが近づく毎月末に、特に集中して作っています。締め切りがあると張りあいが出ますね

(竹)作るパズルの種類についてはどうでしょう。まんべんなく作るほうですか? 好きなものだけ作りたいほうですか?

Hammyまんべんなく作りたいです。最近、むかしと比べて、好きなパズルの範囲が広がってきました。例えば、数独はむかしはあまり好きじゃなくて敬遠していたんですけど、いざ作ってみたら面白かったです。むかしは解くのもツラかったんですよ。いま思うと、当時の解きかたが自分に合ってなかったのかなと思います。入る可能性のある数字をマスごとにちょこちょこメモしながら解いていたんですけど、試しにメモなしでやってみたら楽しく解けたんですよ。相性もあるんでしょうけど。あとは、身近に数独にハマった人がいるのも一因かな。義理の父なんですけど、それまでまったくの初心者だったのに、勧めてみたらすっかり気に入ってしまって、自分で問題を作るまでになったんですよ。しかも、16マス×16マスの大きいサイズの数独ですよ。ニコリの本にも何度か載っています

(竹)16×16数独ですか。あれは完成させるだけでもかなりタイヘンなパズルですよね。すごい!

Hammyですよね。作っている途中で何十回もハタンしているらしいです(笑)。父は数独以外のパズルも解けるので、たまに私が作った問題を解いてもらっています。見ていると、私の想定しているのとまったく違う部分から解いていくんですよ。思いも寄らないような深い先読みをするんです。勉強になります。父も将棋が趣味でして、やはり先読みの得手不得手と関係ありそうですね

(竹)パズルを作るときに意識していることはありますか? 学生時代と同じく、いまでも難しい問題を追求しているんでしょうか?

Hammyはい。『難しいものを作りたい』というのはポリシーなのでずっと変えたくないです。ただ、いまはただ難しいだけの問題は使ってもらえません。わかりやすい問題じゃないといけないので、難しい手筋を際だたせるような工夫を入れるように心がけています。解いていて自然に『どう見てもココは怪しいよな』と思わせるような流れを作るようにしています。ひとりにしてくれで、ぱっと眺めて目立つ数字を使って手筋を作るのもそうですね

(竹)ほかの作者の問題は解いていますか?

Hammyもちろんです。nikoli.comの問題はほぼ全部解いています。ケータイパズル数独の問題もかなり解いていますよ。通勤途中にやっています。以前はその時間に英語の勉強をしていたんですが、パズルのせいでできなくなってしまいました。ほかの作者の問題を解くと、パズルにもいろいろな方向があるということに気づかされます。『これは面白い』と思うツボが自分の中で広がります

(竹)ちょっと難しい質問を。Hammyさんにとって、パズルとは何ですか?

Hammyうーん…(熟考)。むかしはやめたこともあったけど、いまはパズルのない生活というのはちょっと考えられないですね。どんなに眠くても、目の前に一問あったらついつい遊んでしまいます。ハマっています。一言でバシッといえないので、こんな感じでどうでしょう?(笑)

(竹)今日は楽しいお話をありがとうございました。最後に、解く人へのメッセージをお願いします

Hammy私は問題を作るときに、仕掛けや趣向といった『やりたいこと』を盛り込むことが多いです。すべてに気づいてもらうのは無理だと思うけれど、何回かに一回くらいでもいいので、『Hammyはコレをやりたかったんだな』と気づいていただけるとうれしいです。さらにそれを面白いと思ってもらえたら最高です


インタビュー : 2008年11月 2008年12月8日公開