作家インタビュー第33回 第二駐輪場さん

インタビュー作家座談会

ニコリのケータイパズル数独やnikoli.comに問題を作っていただいている作家さんにあれこれ聞いてしまうコーナーです。今回のゲストは第二駐輪場さん。20代後半の独身男性。職業は、出版社の編集者だそうです。

(金)どんな子どもでした?

第二駐輪場うーん、今とあまり変わらないですね。そういえば漢字が好きでした。母親が買い物に行っているあいだに、ひとりで黙々と漢字を書いていました。ただの書き取りじゃなくて、新しい漢字を創作したりして、ひとりで遊んでいましたね。3~4歳のころだと思います。親はぼくのことを完全に文系だと思っていたそうです。実際はばりばりの理系だったのですが。(笑)

(金)パズル的なものでも遊んでいましたか?

第二駐輪場幼稚園のころは迷路が好きでした。落書き帳にときどき、クレヨンで迷路を書いて遊んでいましたね。そんなに複雑なものではなかったのですが、自分なりに凝ったものを作っていたのを覚えています。1面、2面、…と作って、ステージクリア型にして、友だちに解いてもらったりしていました。なぜ迷路が好きになったのかは覚えていませんが、迷路を作るのがとても楽しかったのは覚えています

(金)ペンシルパズルとの出会いはいつごろでしょう?

第二駐輪場最初は、毎日新聞に連載されていた『ののぐらむ』だったと思います。叔母が好きで、家では毎日新聞を取っていなかったのに、毎週コピーを取ってわざわざ持ってきてくれていました。ぼくがきっと好きだろうと思ってくれたんでしょうね。あ、遠くからわざわざ持ってきてくれたわけではないですよ、叔母は当時、斜め向かいの家に住んでいましたから。それが小学校3年くらいのことです。ののぐらむはしばらく続けていました。そのうち本屋で見つけたイラストロジックの雑誌を親に買ってもらったりするようになりました

(金)ニコリを知ったのはいつごろ?

第二駐輪場イラストロジックの雑誌を買っていたころ、吉祥寺の本屋でNG5(ニコリのバックナンバーを合体させた本)を見つけて祖父に買ってもらったのが最初です。小学校4年生のときのことです

(金)なんでNGだったんでしょう?

第二駐輪場濃そうな、面白そうな雰囲気があったからでしょうか。わきには、パズル通信ニコリやペンシルパズル本もあったはずですが、なぜかNGだったんです

(金)小学校4年生にとってはNGは難しかったのではないですか?

第二駐輪場いろいろなパズルをちょこちょことつまみぐいしていましたが、ほとんど解けなかったと思います。カックロなどはほんとうに歯が立ちませんでした。(笑) そんななかで、解けたことをはっきり覚えているのが、湯沢一之さんの『大陸迷路』です。オーストラリアのかたちをした迷路です。解いていくと初めはコアラがでてくるのですが、最短経路ではカンガルーが現れる。迷路にストーリーがあるというのに感動しました

(金)それからすぐにパズル通信ニコリを買うようになったんですか?

第二駐輪場そうじゃないんですよ。NGのほかにニコリの本があるということに気がついていなかった。(笑) しばらくしてペンシルパズル本を知って、ナンバーリンクなどを買ってみました。そのうち、ペンシルパズル本の後ろにある広告のページでパズル通信ニコリの存在にようやく気がつきました。最初に買ったのは56号です。小学6年生のときでした

(金)そのころには、ペンシルパズルは前より解けるようになっていたのでしょうか?

第二駐輪場やはりほとんど解けませんでした。(笑) ぼくの当時のニコリを見ると、盤面に2~3個数字を入れただけで白いんですよ。それでもニコリの雰囲気が好きで、56号からはずっと買い続けています

(金)第二駐輪場さんが好きだと思ったニコリの雰囲気って、どんなところですか?

第二駐輪場コンテストが独特ですよね。ポチコンとか、ほかのところでは味わえないものです。ぼくもときどき応募していました。また、パズルが解けないなりに、その面白さが誌面から感じられたのも、心地よかったのだと思います。中学校でニコリを知っている同級生を見つけたときは、盛り上がりました。中2のとき周りの友人を巻き込んでパズル同好会を立ち上げてしまったくらいです

(金)同好会を作ってしまったのですか、それはすごい。それから解けるようになってきたんですね

第二駐輪場そうですね。徐々に、ですが。高校1年生のころには、だいぶ解けるようになっていました。同好会は、初めのうちは同じ学年の仲間だけで活動していたのですが、最後の高校3年生のときにとうとう後輩が入ってきました。それから今まで脈々と後輩たちが続けてくれていて、パズル通信ニコリに問題が採用されているような優秀な人材も出ているんですよ。同好会の具体的な活動は、文化祭に向けての準備が主です。ぼくの高校では、文化祭の優秀な企画に賞が出るんですが、高校3年生の文化祭で、パズル同好会が大賞を取りました。自分たちで作ったパズルや既製品の知恵の輪などを展示しました。お客さんの投票でもとても評価されたんです。うれしかったですね

(金)ペンシルパズルを作り始めたのは、文化祭のためだったんですか?

第二駐輪場友人と自作のパズルを見せ合ったりするようなことはやっていましたが、人前に出すことを意識して作ったのは、中3のときの文化祭が最初だと思います

(金)そのころどんなパズルを作っていたか覚えていますか?

第二駐輪場クロスワードや、推理パズルなどだったと思います。家に帰れば今でも取ってあります。オリジナルのペンシルパズルらしきものも作っていました。ぬりかべと橋をかけろをあわせたようなパズルです

(金)パズル通信ニコリへ投稿を始めたのはいつごろですか?

第二駐輪場大学2年生のときです。投稿するにあたって、どれが載りやすそうなのかを考えました。107号だったと思うのですが、「波及効果スペシャル」というコーナーがあって、これならいけそうだと思って投稿したのが最初です。波及効果は競争率が低そうだし、その号にはたくさん載るから大丈夫だろう、と。めでたく載りました。10×10サイズの波及効果で、まんなかくらいの難易度だったと思います。最初の1問を作るのはほんとうに大変でした。完成させたつもりで解いてみると実は破綻していて、直して解いてみるとまた破綻している、ということを何度も繰り返しましたね。その1問で、このパズルは手で作るものではないと気がついて、大学で習いたてだったプログラミングを使って、波及効果作成支援ソフトを作りました。波及効果を作っている途中でも、ルール違反があると教えてくれるソフトです

(金)波及効果を選んだのは、載りやすそうという理由だけなんですか?

第二駐輪場そうです。当時は、特に面白さのわからないパズルでした。でも、そのパズルの好き嫌いより、作って送るからにはちゃんと載ってほしいし、載せるからには、そのパズルの第一人者になりたいと思ったんです。波及効果ならまだ新しいこともできるだろうと思って選びました。カックロやへやわけなどでは、もう第一人者になれる余地はないと思ったんです。ぼくの選択は結構正解だったと思います。波及効果がなければ、たぶんここに呼ばれていないですから。(笑)

(金)それからはずっと作り続けているんですか?

第二駐輪場淡々と波及効果の投稿を続けていました。パズル通信ニコリの締め切りは3カ月ごとですが、そのたびに、修行のつもりで波及効果を5問ずつ送っていました。このところ忙しくて送れないでいますが

(金)波及効果以外のパズルは作らないんですか?

第二駐輪場ほとんど作りません。ほかはあまり作りたくないですね。作ったものが面白くなる自信がないんですよ

(金)スペシャリストですね。波及効果に関しては難易度調節は自由自在ですか?

第二駐輪場ある程度は。簡単な問題も作れるし、難しい問題も作れます。適度に難しい問題を作るのが難しいですね。難しいほうは、いくらでも難しくはできるのですが、採用されないレベルになってしまいますから

(金)波及効果を作るときに心がけていることは?

第二駐輪場作って送るからには載せたいので、ニコリの判定基準にあうものを投稿しようとはしています。こういう決まり方は気づきにくいから載りにくい、といったこともだんだん分かるようになりました。気づきにくい決まり方はできるだけ避けたいですね。たとえば、ある部屋に3を入れるために、ほかの部屋の3を4つも見なければならない、というのは気がつきにくいですよね。一意に決まればいい、というものではないと思っています。ペンシルパズル本『波及効果3』の1番の問題はぼくの作ったものなのですが、これは、ほとんどがほかの部屋の数字1つしか見なくても決まるように作りました。狙い通り1番に採用されてうれしかったです

(金)たくさん作ったからこそ上達したのでしょうか?

第二駐輪場作って解いてを繰り返したから見えてきた部分はありますね。波及効果を今くらい作れるようになるためには、それなりに苦労しました。だから、今から、ほかのパズルでそれだけの苦労するのはしんどいですね

(金)自分の理想とする波及効果は?

第二駐輪場ちゃんとストーリーがある波及効果がいいですね。ただなんとなくだらだら埋まっていくことになりがちなので、ちゃんと流れがあることが解き手に伝わるような波及効果を作りたいです。クライマックスをどうすればいいのかは、何となくわかってきているつもりですが、中盤をどうすればいいのかは、まだ模索しているところです。だから、ぼくの最高傑作はまだないですね。いつか、流れをきちんと提示できる問題を作りたいです

(金)解き手として好きなパズルは?

第二駐輪場へやわけですかね。1問も作ったことはないですが。やっぱりへやわけにはストーリーがあるからいいですね。ストーリーが好きなんですよ

(金)あなたにとってパズルとは?

第二駐輪場作り手としては、手軽にできる創作活動、という感じですね。新しいものを作って、ほかの人が見てくれるのは喜びになっています。ほかの人がやっていない新しいことができるのがいいです。そういう意味でも波及効果がいいですね。まだやられていないことがたくさんありそうですから

(金)なんのための創作活動なんですか?

第二駐輪場人に喜びを与えたいというのもありますが、自分がやっていることを人に見てもらいたい、というのがいちばん大きいと思います。その点では、波及効果はファンが少ないからよくないかもしれません。(笑) 面倒なパズルと思われて敬遠されるようなので、さくさく解ける波及効果が増えてほしいですね

(金)では最後の質問です。あなたのパズルを解いてくれる人にメッセージを

第二駐輪場好きなように解いていただいていいと思いますが、何らかのアピールポイントがそれぞれのパズルにあるので、それを少しでも感じていただけたらうれしいです


インタビュー : 2011年5月 2011年6月14日公開