作家インタビュー第39回 湾狼子さん

インタビュー作家座談会

nikoli.comの問題を作っている作家へインタビューするコーナーです。今回のゲストは湾狼子さん。21歳。男性。大学生です。nikoli.comでデビューしたのは最近ですが、出版物では以前から幅広く活躍されています。

(竹)小さいころはどんなお子さんでした?

湾狼子保育園のころから、ずっと本ばっかり読んでいました

(竹)どんな本を読んでいました?

湾狼子小学校ではファンタジーものの小説が好きでした。『ナルニア国物語』とか

(竹)魔法の世界のお話ですね。たしか、SFもお好きなんですよね?

湾狼子そうです。もともと母や母の妹がSF好きで、家にSFの本がたくさんあったんです。中学校ではSFばかり読んでいました。もちろん今も好きです

(竹)学校の勉強はよくできていました?

湾狼子できたほうだと思います。算数、数学、理科が好きでした

(竹)パズルっぽいことは、なにかやっていました?

湾狼子自分では記憶がないんですけど、母によると迷路を作ったり解いたりしていたみたいです。たぶん小学校低学年くらいの話だと思います。中学のころ世の中が数独ブームになって、新聞とか雑誌で数独をたくさん見かけるようになって、数独を解くようになりました

(竹)じゃあ、ペンシルパズルを知ったのは数独ブームがきっかけなんですね

湾狼子そうです。当時は家の近所にパズルの本を売っている書店はあまりなくて、旅先で見つけて買っていました。本が好きだから、旅先ではよく本屋に立ち寄るんですよ。最初に買ったパズル本はへやわけのペンシルパズル本か『へやわけマン』だったはずです。そのあと高校受験の影響でしばらく離れていたんですけど、高校2年生くらいからまた解きはじめました。大きいサイズのパズルが好きになって、『パズル・ザ・ジャイアント』(巨大サイズのパズルを詰めこんだニコリのシリーズ本)を買いました。たくさんのマスをどんどん埋めていくのが楽しくて。デカビロ(新聞見開き大の超巨大パズル)のスリザーリンクも買いましたよ

(竹)デカビロとはすごい。そういえば、nikoli.com向けの投稿でも、ジャイアントサイズをけっこういただいています。今でも大きい問題が好きなんですね

湾狼子好きです。大きい問題のほうが作っていて楽しいです

(竹)投稿を始めたのはいつごろですか?

湾狼子高校2年生の終わりごろです。オモパのコーナー(『パズル通信ニコリ』の名物コーナー『オモロパズルのできるまで』)がおもしろそうで、投稿すれば載るんだということもわかったので、始めました。最初に載ったのは『ニコリ』123号です。快刀乱麻という新作でした。新作といっても、別のパズルを改良したものですけど

(竹)快刀乱麻といえば、途中で曲がらない直線で盤面を切り分けていくパズルですね。最初からオリジナルルールとはすごい。今でも、『ニコリ』のオモパのコーナーにはコンスタントに投稿していますよね。123号以来ずっと、コーナーのどこかに湾狼子さんの問題が載っているイメージがあります

湾狼子さすがにそこまででは。これまでに載った新作は11種類です

(竹)今まででいちばん気に入っている自作のオモパは?

湾狼子コージュン(『ニコリ』125号掲載、波及効果に似たパズル)です。盤面に上下の概念をうまく組み込めたのが気に入っています。問題も作りやすいし、カンタンにしやすいですよ。いちばん長く続いているのはのりのり(条件を満たすように1マス×2マスの黒マスのカタマリを置いていくパズル)です

(竹)そういえば、のりのりも湾狼子さん考案のオモパでしたね。もうペンシルパズル本にまでなりました

湾狼子あそこまでいくとは思っていませんでした

(竹)オモパ以外だと、どのパズルが好きですか?

湾狼子特別これが好き、というのはないんですけど、へやわけとましゅは解くのも作るのも楽しいです

(竹)どういうところが好き?

湾狼子へやわけは、いろいろなことができるのが好きです。黒マス側から決まったり、白マス側から決まったり、どちらにしてもここはこうなる、という考えかたが出てきたり。好きなように作りやすいです。ましゅも作りやすいのが好きです。へやわけほど解くときのパターンはないかもしれないけど、「これをやろう」と決めたことがだいたいできるのがいいです。

(竹)なるほど。ほかにも好きなパズルはありますか?

湾狼子シャカシャカも好きです。最近できたパズルですが、新しい手筋や展開が増えて、いろいろなことができるようになってきていますから

(竹)自分のやりたいことをやれるのがいいんですね。難易度でいうと、どのくらいの問題が好き?

湾狼子「ちょっと難しい」くらいの問題が好きです。あんまり難しいのは好きじゃないです。手が止まっちゃうので。同じような理由で、数独は手が止まりやすいからパズルとして苦手です

(竹)自分で問題を作るとき、難易度はどのくらい意識していますか? 前もって決めてから作りはじめる?

湾狼子だいたいは決めています。実際はうまくいかないことも多いんですけど

(竹)難易度の調整は難しいですよね。でも、湾狼子さんはやさしい問題はちゃんとやさしいですよ

湾狼子やさしい問題はかなり意識して、何度も解き直して修正しています。最初は修正作業が大変でした。17マス×17マスの問題で10回ぐらい解き直したこともあります。最近だとそこまで解き直すくらいなら、いっそ新しく作ったほうが早いと思ってしまいますけど(笑)。難易度がどうこうよりも、スラスラ解けるように作るつもりだったのがスラスラ解けないのがイヤなんです。解き直している途中で、こう解けるのは好きじゃないと思ったらすぐに直しちゃいます

(竹)自分が楽しいと思える問題を目指している?

湾狼子そうです。他人のことはあまり意識していないです。自分が楽しい問題ならいい問題だろう、という考えで作っています。だから、嫌いな解きかたは入れないように作っています。たとえば、ヤジリンで「盤面の角から1マス離れたマスには必ず線が通る」という解きかたは使いません

(竹)そのあたりは、作家ごとに好き嫌いがあるでしょうね。そのおかげで、nikoli.com全体としていろいろなタイプの問題が出題できています。注目している作家はいますか?

湾狼子問題を解いていておもしろいと思う作家は、裄紘さんと坂本伸幸さんです。「そこまで難しくない」という難易度の範囲で、変わったことをやっているなあと思います。坂本伸幸さんの、ひたすら輪っかがずっとできないようにしていくスリザーリンクが好きです

(竹)たしかにあれは毎度よくできています。ところで、パズル以外の趣味はなんですか?

湾狼子小説を読むのは昔からずっと趣味です。今は、大学の図書館で小説を読んでいます。どこか外に出かけたいという気持ちもあまりないので、毎日家と大学を往復している感じです。あとは上野の博物館に行くくらい。学生証を見せるとタダで入れるんですよ。ほかには、大学で、自分の専門分野と関係ない講義を聴くのも好きです

(竹)興味の幅が広いんですね。将来は研究者になりたい?

湾狼子そのつもりです。天文の理論をやりたいです。ビッグバンが起きて、宇宙が晴れ上がったあと、星ができてくるまでの間のようすについて研究したいです。そのあたりのころの証拠って、まだちゃんと観測できていないんです

(竹)へえ。パズルについてはどうですか。これからも作っていきたい?

湾狼子はい。特にオモパ。もっとおもしろいオモパをいっぱい作りたいです

(竹)将来、湾狼子さんが開発したオモパがnikoli.comで出題される日が来るかもしれません。湾狼子さんにとってパズルとはなんでしょうか?

湾狼子なんでしょうね、あまり考えたことがないです。ふだん生活していると自然に作りたくなります。生活の一部かな。ご飯を食べて、本を読んで、パズルを作る、みたいな

(竹)最後に、湾狼子さんの問題を解く人へのメッセージをお願いします

湾狼子自然に気持ちよく解けるように作っているつもりなので、解いて楽しんでいただけたらいいなあと思っています

(竹)今日はありがとうございました


インタビュー : 2013年3月 2013年4月30日公開