パズル作家座談会 第3回

インタビュー作家座談会

「多作のヒケツ?」の巻

パズル作家座談会第3回のゲストは、CastyさんGutenさん。nikoli.comやケータイパズル数独の問題を、特にたくさん作ってくださっている「多作作家」のおふたりです。

(竹)いきなりですが、ご自分では『問題をたくさん作っている』という意識があるんでしょうか?

Castyそれはまあ、あります

Guten他人よりは多く作っているという自覚はあります。ただ、絶対数でいえば多いんですけど、『自分なりにたくさん作っているか?』という意味では、実はそんなでもないんですよ

(金)自分のなかでは『たくさん作っている』とは思っていない?

Gutenそうですね。今日はあんまり作りたくないな、と思った日は作らないですし

(金)毎日作るのがノルマってわけじゃないんですね

Gutenええ。今回、たぶん『多作のヒケツ』のようなものを聞かれると思っていたんで、『毎日作ることです』なんていえれば決まるかなとは考えたんですけど、我が身を振りかえるととても毎日作ってるといえる状況ではないんですよね(笑)

(金)Castyさんも同じですか?

Castyそうですね。作らない日もあります

Guten人それぞれのパズルに使える時間の差もあると思います。ふだんものすごく忙しい人が、それなりに作っているとすれば、『その人なりの多作』だと思うんですよ。こういってしまうと、私が暇人だと思われてしまいそうですけど(笑)

(金)あんなに問題を作っているのに、そのなかでも作らない日があるというのは驚きだなあ。作るときの手が早いのかな?

Casty一問あたりにかける時間という意味では、早いかもしれないですね

(金)たとえばスリリンの10×10だったら3分で作るとか?

Castyうーん、数字の配置がすんなり決まればそういうこともあります。基本的に、サクサク解けるように作るので

Guten私は問題によってぜんぜんかかる時間が違いますね

(金)最近、Castyさんは数独のたいへん問題をたくさん送ってくれていますよね。あれは時間がかかると思うんですけど

Castyかかりますねえ。すんなりできても1時間くらいかかります。3~4時間かかることもあります

(竹)作家のなかには、一問一問にすごく時間をかけて作る人もいますよね。時間をかければもっといい問題ができるんだけどなあ、と思うことはありますか?

Gutenそうは思わないですね

Castyボクも思わないです

Guten自分の経験からいくと、ぜんぜん時間をかけずに作った問題でもすごくいいのができることもあるし、ものすごい時間をかけても駄作ができちゃうこともあるんです。時間をかけて、こだわって作っても、いい問題にならないことも多い

(竹)こだわりと質は必ずしも比例しない?

Gutenしないと思います。私なんかは、こだわればこだわるほど不自然な問題ができてしまう傾向にあります。ちょうどいいテンポで作った問題が、いちばん質がいいです

Castyわかります。途中で止まってしまったら、流れが切れたり変わったりしてしまって、いい問題になりません。だから、大きいサイズ、たとえばジャイアントサイズのパズルでも、最後まで一気に作るようにしています

(金)Castyさんの問題は流れるように解けるものが多いけど、作るときになにか『こだわり』ってあるんですか?

Castyいやあ、あまりないですねえ

Gutenこだわりがないっていいきれるのはすごいなあ

Castyたとえば『この解き筋を使ってみよう』と意識しながら作りはじめることはもちろんありますけど

Gutenそういう気持ちはあるんですね

(金)あるでしょう。あんなにたくさん問題を作っているのに、同じような問題ばかりになっていないんだから

(竹)同じような問題ばかりにならないように気をつける、といったようなことは意識しているんですか?

Casty心がけてはいます。たとえば、ほかの作家が開発した手筋を取りいれるようにしています。他人の問題を解いていて、なにかおもしろい手筋を見つけたら、『自分なりにこの手筋を使って作るとどうなるだろう?』というようなことを考えます

GutenCastyさんは『消化』がすごく早いですよね。他人のものを自分のものにするのがすごく早い。ちなみに、私Gutenの問題で、これまでになにか参考になったことはありますか?

Castyえっ? 確かあったと思いますけど…

(金)本人を目の前にして『ありません』とはいえないでしょう!

一同(笑)

(竹)多作に向いているパズルってあるんでしょうか? 多作作家になりたいなあという人にオススメのパズル

Castyサクサク解ける、ましゅや美術館は作りやすいと思います

Guten私もその2つはオススメです。ただ、美術館はパターンが少ないから一度にたくさん作るのは難しいかも。たとえば入り口を『4』にしたら、その後の展開はほとんど決まってしまいます。同じ入り口で10問も作れば、どれかは似た問題になってしまうんですよ。美術館の10×10サイズを毎日1問ずつ作れ、といわれても特に困りませんが、1日に10問作れ、といわれると無理ですね

(竹)ぬりかべはどうでしょう?

Guten同じですね。問題を成立させるのはめちゃめちゃカンタンですけど、ワンパターンになりやすいです。私はぬりかべは苦手なんですよ

(金)ワンパターンというのは、多作作家にとっては敵ですよね。いかにしてワンパターンを回避するか

Gutenというより、いかにワンパターンを容認するか、ですね。たとえば、ぬりかべって入り口のパターンはかなり決まってますよね

(金)決まってますね。パターンがあまりない

Gutenそこで飽きてしまうと、ほんとに問題が作れなくなっちゃうんです。ただ、同じ手筋を使っても、雰囲気が違う問題は作れるんです。手筋で見ればワンパターンでも、雰囲気で見ればワンパターンではない、ということです。Castyさんはワンパターンになったりしないんですか?

Castyなりますよ。入り口がかぶってしまうのは、もうしょうがないと思っています。そのあとの展開で、いろいろ違ったことができればいいんじゃないかと

Gutenぬりかべはほんとに苦労して作ってますよ。手筋と関係ないところでいかに楽しませるかということを考えています。数字と白マスが『つながりそうでつながらない』パターンを多用したりとか

(竹)ましゅはワンパターンになりにくいのか、nikoli.comへの投稿もとても多いんですよ。やっぱりみんな作りたいのは同じなのかな?

Guten黒丸や白丸を自由に置いていいというのが大きいでしょうね。ほかのパズルは、数字や黒マスを点対称に配置しなければいけないという作者側へのルールがあるものが多いので

(金)スリザーリンクは数字を対称に置かないといけないけど、わりと自由に作れませんか?

Guten私はワンパターンになっちゃうんですよねえ

(金)ワンパターンも数字の配置のしかたで回避できますよ。数字をナナメに並べるのか、タテヨコにとなりあわせて並べるのかで、見た目も解き味もまったく変わる。あんなにカンタンにマンネリを打破できるパズルはないと思います

Castyボクもそう思います

Gutenスリザーリンクの場合、ナナメ配置が得意な作家と、タテヨコ配置が得意な作家とに分かれていますよね。どちらも得意な作家は少ないじゃないですか。全体としてはパターンがたくさんあるパズルですけど、作家個人個人で見ていくと、意外とパターンが少ないように思えるんですね

(金)私は仕事でスリザーリンクをたくさん作る必要があるんですけど、ネタにつまったときはほかの作家の作風を積極的に取りいれています。『今日は339さん風の問題を作ってみようかな』とか、『今日は坂本伸幸さんのマネをしてみよう』とか

Guten私はまいなすよんさん風を目指すことがあります。たぶん、まいなすよんさんのスリザーリンクを目指そうとしている人はあまりいない気がするんですが

(金)まいなすよんさんのスリザーリンクのスタイルってどんなのだろう? スリザーリンクでスタイルがある作家といえば、339さんと坂本伸幸さんが筆頭だと思うんですけど

Guten私は『まいなすよんフリーク』ですから(笑)。タテヨコ配置が多くて、ナナメ配置は少ない。あと、一例ですが、『0』と『2』がタテヨコにとなりあっていて、解いていくうちに『2』の辺の1カ所に線が通らないことがわかり一通りに決まる、という展開の使い方がとてもうまいんです。Castyさんの問題にも似たところがあると思うんですけど、まいなすよんさんはまいなすよんさんだけの味があるんですよね

(金)なるほど

(竹)なんにせよ、ほかの作家のマネをしてみるのも、ワンパターン打破のコツかもしれませんね

(金)パズル作りに飽きるということはないんですか?

Castyボクはないですね。単に楽しいから作っている感じなので

Guten気分のムラもないんですか?

Castyその日その日で、ちょっと作るのに疲れたかなー、というのはありますけど。全体としてはありません

(金)『作らなきゃ』という気持ちもない?

Castyそうですねえ。自然に作ってます

(金)多作のヒケツはそれかな、やっぱり。自然体

Gutenなんだか『多作のヒケツ』というより『長生きのヒケツ』みたいな話になってますね(笑)。私は『作らなきゃ』と思いながら作ることもありますよ。たまにイヤになることもあります。実際に作りはじめたらだいたい楽しいんですけど

(金)女性にたとえると、別れたい女性とデートしている感じですか?

Gutenえーと…それとはちょっと違いますね。たぶん、なんだかんだいって相手のことは好きなんですよ。長年いっしょにいる恋人みたいなものです

(金)古女房かな

Gutenええ、そんな感じですね

(竹)なるほど。おふたりの多作に対する思いをお聞きしたところで、今日はお開きにしたいと思います。これからもたくさんの問題、お待ちしています!


座談会開催 : 2009年9月 2009年10月14日公開

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