パズル作家座談会 第10回

インタビュー作家座談会

数独作家、数独を語る

今日は数独について考えてみたいと思います。ゲストは、Castyさんホネロクオさん。nikoli.comやケータイパズル数独で、数独の問題をとってもたくさん作っていただいているおふたりです。たくさん作ってきたからこそ見えてくる数独の深い話が聞けるかも? ニコリからはいつもの(金)と(竹)が参加しました。

(竹)今日はお越しいただいてありがとうございます。実は、おふたりはnikoli.comやケータイパズル数独で数独をたくさん作っている作家トップ2なんですよ

ホネロクオへええ、そうなんですか

(竹)おふたりとも、数独以外のパズルもたくさん作っていらっしゃいますよね

Castyそうですね。特に数独だけ多く作ろうという気持ちはありません

ホネロクオ僕は、最近は数独ばかり作っていますね。ほかのパズルは、たまにちょこちょこっと作る感じで(笑)

(竹)やっぱり数独が作りやすいんですか?

ホネロクオいやー、もともとは数独作るのがそんなに得意じゃなかったんですよ

(金)そうなんですか

ホネロクオでも、一時期ペンパ本(ペンシルパズル本。一種類のパズルの問題だけを載せたニコリの本)にたくさん載せてもらったことがあって、数独はほかのパズルより載せてもらいやすいのかな、と思って積極的に作るようになりました

(竹)そういえば、ホネロクオさんはインタビューのときにもおっしゃってましたね。載ることがモチベーションだ、って

ホネロクオはい。載ることが大切なんで

(竹)インタビューといえば、Castyさんはインタビューで『数独は作るのにいちばん時間がかかるパズルだ』というようなことをおっしゃってましたよね

Castyはい。いちばん時間がかかります

(竹)とすると、数独ってたくさん作るのには向いていないパズルなんでしょうか?

ホネロクオ最初は作るのにすごく時間がかかるパズルだと思っていたんですけど、最近は作り慣れてきたからか、だいぶ早く作れるようになってきました。自分の中で作るときのパターンが決まってきたというのもあるかもしれません

(竹)といっても、やっぱりハタンしたりはしますよね。この先どう数字を置いても問題として成立させられない、というような

ホネロクオそれはあります。でも、むかしよりはずっとハタンせずに作れるようになってきましたよ。僕の場合、数独を作るときは『自分のできる範囲』でしか作っていないことが多いんです。そうすると、数字の配置や空いているマスの残りかたで『こういう形だと、こういうところでハタンしやすい』というのがなんとなくわかるんです

(金)でも、難易度でいえば、幅広く、いろいろな難易度の問題を作っている印象があります

ホネロクオ基本的には、おてごろ問題を狙って作っているんですよ。作っていくうちに、難しい手筋を入れずにすんだり、狙って入れたりして、結果的にらくらくやたいへんに振れるので、あるていど散らばるんだと思います

(金)Castyさんはどうですか? それこそまんべんなく、らくらくからたいへんまですごく幅広く作っていますけど

Castyはい。私は、たとえばたいへん問題なら最初からたいへん問題を作ろうと思って作っていますね

(金)じゃあ、よくハタンする?

Castyハタンします(笑)。ハタンしたらもう、あきらめて最初から作りなおします

(竹)最初から作りなおすんですね。途中まで作った状態でコピーしておいて、そこから作りなおす、というようなことはしないんですか?

Castyしないですね。頭の中でちょっと先読みしながら作るようなことはしています。ここに『1』を入れたら、ここがこうなってこうなるから、やめておこう、というような

(竹)へええ。そこまでいくにはかなりの慣れが必要そうですね

(金)作り慣れるのがいちばんのコツといったところでしょうか

(竹)先ほどホネロクオさんが、自分のパターンに持ちこんで作る、というお話をされてました。逆に、似たような問題ばかりできてしまって困るようなことはありませんか?

ホネロクオ少しあります。作っていて、そのときそのときで特定の数字配置を好きになることがあるんです。あれ、この配置はおもしろいな、という感じ。そうすると、似たような配置で別にもう一問作ったりするんですけど、どうしても似たような流れになっちゃって、いいのかなあと思うことはあります

(金)作っていて似た流れになっちゃうことはありますよね。そもそも、数独って作家の個性が出しにくいパズルですよ。数独で個性的な問題を作る作家というと、あかしょうびんさんくらい?

ホネロクオあと、坂本伸幸さん

(金)そのくらいですよね

(竹)そのあたりの意識はどうですか? 個性を出したいと思ったりはしないんですか?

ホネロクオないですね。個性を出しにいったとたんにハタンするので(笑)

Casty私もないです

(金)Castyさんは数独に限らず、どのパズルでもそうですよね。個性をなるべく出さないようにしている感じがします

Castyそうですね。個性が出ないように作っていくほうが、モチベーションが長続きしますから

ホネロクオわかる気がします。個性を出すと、自分で首を絞めちゃう気がする

(竹)いつも個性的なアイディアが出るわけじゃないですもんね


(竹)ところで、数独といえば、かつて世界中でブームをよんだことがあるパズルです。ブームになった当時、実感はありました?

ホネロクオ正直、あまりありませんでした。最初にイギリスでブームになったって話を聞いても、すぐに落ちついちゃうんじゃないかと思っていました。でも、あちこちの国に飛び火しているのを知って、びっくりしました。今ではすっかり定着しましたよね。外国の空港とかでよく見かけます

(竹)Castyさんはどうですか?

Casty私も長続きしないんじゃないかなと思っていました

(竹)ボクも当時は読者でしたけど、実は同じ気持ちでした(笑)。ニコリでは、数独ブームのあとカックロやスリザーリンクといったほかのパズルも世界に発信しているんですけど、今のところ数独ほどは定着していないんです。数独のなにがよかったんでしょうか?

ホネロクオどうなんだろう、やっぱりわかりやすさですかねえ

(金)ルールはわかりやすいですよね。意外に奥が深いし

ホネロクオあと、新聞に載せやすいというのもあるかもしれません。パッと見た目で数独ってわかるので。たとえば、ぬりかべのような黒マスをぬるタイプのパズルだとわかりにくい

(金)数字を書きこむというのも、イギリスの新聞には合っていたのかもしれないですね。もともとクロスワードという文字を書きこむパズルがあったから

ホネロクオそうですね。いきなり黒マスをぬりましょうといわれても、今までやったことがないことですからね。パズルそのものの初心者だと、ぬらないマスをどうするか、というようなことも考えたことがないでしょうし


(竹)問題を作るときの話をもう少し突っこんでみましょう。自分の中で、数独について『これだけは守ろう』と思っていることはありますか?

Castyあまりないです。自然に作っています

(竹)たとえば『表出数字(最初からあかされている数字)は○個以下にしよう』というような制限はあります?

Casty表出数字にしても、最初から全部の場所を決めてしまわないで、作っている途中でたしていくんですよ。だいたい22、3個から作っていきます

ホネロクオなるほど

(竹)最終的には何個くらいが多いですか?

Castyたいへん問題だと24、5個ですね

(金)だいたいそのへんに落ちつきますよね

Castyただ、表出数字の個数はあまり気にしないです。必要だと思えばたしますし、いらなければたさないという感じで

(竹)解き味重視ということでしょうか?

Castyそういうことになるんでしょうかねえ

(竹)ホネロクオさんはどうですか? 個数は決めています?

ホネロクオ24個までですね。ほとんど22個、23個、24個だと思います。それ以上の表出数字を入れることはあんまりないです

(竹)たまたまその個数で収まっている感じですか?

ホネロクオいえ、けっこう気にして作っています。あとから数字をたすのがけっこう気持ち悪いんですよ。自分なりにキレイな見た目を保ちたいので。たまに、やりたいことを好きなようにやって、最後の最後でしかたなく数字を増やす、ということはあるんですけど

(竹)そのあたりはおふたり対照的ですね

ホネロクオ逆に、表出数字が30個とか32個もある問題を作っている人の作りかたはよくわからないんですよね

(金)わからないよねえ

ホネロクオそんなに表出数字があるのにちゃんとしたたいへん問題になっているのを見ると、純粋にスゴイなあと思います

(金)数独作家が問題を作るときのパターンって、実は人によってかなり違うのかもしれませんね。だから、ほかの作家の問題をマネして作ろうとしても、なかなか作れない

ホネロクオわかります。他人の問題の数字配置を使って問題を作ろうとしても、うまくいかない。その人がやっている方向に行きたいんですけど、どうしても行かないんです

(竹)不思議ですよね。個性がないというわりには、他人の問題はマネしにくいなんて。数独は『個性がない』んじゃなくて、『個性がわかりにくい』だけなのかもしれませんね

ホネロクオ少なくとも言葉には表しにくいですね

(竹)そろそろお開きにしたいと思います。せっかくの機会なので、数独を解いてくださるみなさんへなにか一言ずつお願いします

ホネロクオ他のパズルに比べて、評価や感想が少ないと思うので、コメントをもらえたら嬉しいです!

Casty好きなように解いてもらえるのがいちばんです。インタビューでも同じようなことを言いましたけど(笑)

(竹)ありがとうございました。これからも数独の問題をいっぱい作ってくださいね


座談会開催 : 2010年7月 2010年8月11日公開

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