パズル作家座談会 第14回

インタビュー作家座談会

四角に切ろう!

nikoli.comやケータイパズル数独向けに問題を作ってくださっているパズル作家をおよびして、パズルに関する深い話をするパズル作家座談会。今回はペンシルパズル「四角に切れ」について話します。ゲストはGutenさん中井亮平さん。ニコリからは(金)(竹)が参加しました。

(竹)四角に切れは1989年に登場した古いパズルなんですが、途中いちど人気がなくなって消えかかった時期があったんですよ。その後、nikoli.comで出題されるようになって勢いを取り戻しました。その魅力ってなんでしょう?

Gutenなんといってもわかりやすいですよね。こんなにわかりやすいルールはないと思います

(金)そうですね

(竹)中井さんはどう思います?

中井亮平チマチマ四角が決まっていくチマチマ系でも、ざっくり決まるざっくり系でもおもしろいところだと思います。ざっくり系がnikoli.comで出てきて、四角に切れは進化したと思います。こないだ昔のペンパ本を解いたんですけど、すごくツラかった

(金)昔の問題にはざっくり系がないんですよね

(竹)大きい数字がなかったんでしょうか?

(金)大きい数字を使っていても、チマチマ決まるんですよ

(竹)仮押さえ(ある数字について『このマスまではこの数字の四角に含まれる』と考える解きかた)で少しずつ広げていく形ですね。昔の難しい問題では定番でしたね

中井亮平それはそれでおもしろいんですけどね

Gutennikoli.comでもう一回火がついたということは、チマチマ系よりざっくり系が好まれたんでしょうか

(金)そうでしょう。一気にバーンと決めていくっていうのは、やっぱり気持ちいいよね

中井亮平アスピリンさんの問題の感じですよね

Gutenえ? あれはダイナミック? 彼の問題は、このマスに届くのはこの数字しかない、という決め方をするものが多いですよね

(金)わりと難しいんですよね。あんなに数字がスカスカなのに

中井亮平ダイナミックかどうかはともかく、緻密に作られていてすげえなと思います。ボクは好きですよ。同じようなものを作ろうとは思わないですけど

(金)彼の問題はほかの作家に多大な影響を与えていますよ。あかしょうさんが10×10で数字の個数の少ない問題を作っているんですけど、あれはたぶんアスピリンさんの影響でしょう

Gutenでも、あんまりたくさんは解かなくていいかな。nikoli.comやケータイの四角に切れがああいう問題だらけになるのは望ましくないと思います。あのタイプの問題を作るのはアスピリンさんだけでいいかもしれません

(金)ニコリとしては、小山雲丹さんの問題のような、2、3、4といった小さい数字ばかりの四角に切れも歓迎しています。いろいろなタイプの問題があるほうがおもしろいでしょう

Gutenボクの理想としては、ひとつの問題に大きい数字でズバッと決まるところと小さい数字でチマチマ決まるところの両方を詰めこみたいです。あくまで個人的な理想ですけど

(金)大きな数字がいちばん始めに決まる、という流れは、昔の問題ではあまりなかったんですよ

(竹)nikoli.comで最近逸品館に選ばれた中井さんの問題が、最初に18が決まる問題でしたね

中井亮平大きな数字をいきなり決めてしまうのはボクが元祖かもしれないですね

(竹)最初は、どうしてこれをやろうと思ったんですか?

中井亮平うーん…よく覚えていないです

Guten大きい問題で、カンタンにしようと思ったら、自然にやろうと思いますよ

(竹)実際にそれをやって、いい問題を作った元祖が中井さんということですね

(金)入り口は作るときに意識しますか?

Gutenしますね。入り口は、できるかぎり一発で決まるようにしています

中井亮平ボクも入り口だけはそうしているつもりです

Gutenそうすると、数字を置く場所もそこから決まっちゃうことが多いんですよね

中井亮平ボクは、入り口に限らず、数字の配置はだいたい最初に完全に決めちゃうんですよ

Gutenボクは最初から全部決めることはほとんどないですね

(竹)Gutenさんはキレイな数字配置の問題をたくさん作っていますよね。あれは全部なりゆきなんですか?

Gutenさっきも言ったように、まず入り口を作ったところで自然にいくつかの配置が決まります。そのあと入り口の配置を活かすように置いていくんですよ。それで、キレイな配置になりそうだったらキレイにしています。たまたまできることも多いです

(竹)四角に切れの数字配置って、個性が出ますよね

中井亮平数字をナナメに並べるのっていいですよね。作りやすくて。でも、幅1マスの長方形が多くなるのが難点です

Guten数字がナナメにくっついている配置だと、仮押さえの連鎖を意識して問題を作ります。タテヨコにくっついているのは、四角がのびる方向が限られているので、じわじわとのばしていくように作っています

(竹)なるほど

Guten逆に、数字がまばらに置かれている問題だと、なるべくカンタンに解けるように作ります

中井亮平まばらだとどうしても難しくなっちゃいますからね

Guten一見して、とらえどころがないですからね。だからなるべく難しくしないようにがんばっています。数字の配置といえば、盤面の角に数字を置かないのは勇気がいります

中井亮平角に置かない場合、このマスにはこの数字しか届かない、という解きかたが見えやすくなるんですよね。ただ、ボクの場合はこの解きかたでは解かれないよう気をつけているんですけど

Gutenボクはそれを考えるのがめんどくさいから、あまりやらないです(笑)

(竹)その『この数字しか届かない』の解きかたって、解く人に作者の意図していないところで使われてしまうかもしれない、という恐怖がありませんか?

Gutenなるべく最初にその解きかたで決まらないようにがんばっています

中井亮平ボクもそうです。でも、完全に防ぐのは無理ですよね

Gutenどうしても避けられなそうなときは、なるべく早くその部分の切りかたが決まるように心がけています。もしくは、まわりの四角で『くぼみ』を作って、この数字しか届かない、というのをわかりやすくします。でも全部は防げないですね

(金)そこは四角に切れの弱点ですね

Gutenただ、この解きかたを使わないと解けないような問題は少ないように思います。使うとカンタンに解けるという問題はけっこうありますけど

(金)そうですね

Guten作家の考えかたも分かれているように見えます。半分ぐらいは、意図しないところでこの解きかたを使われるのをなるべく避けるように作っているんですけど、もう半分の人は、それはそれで解く人の自由でいいんじゃん、という感じ

中井亮平積極的に使わせようとしている作家もいますよね。にょろっぴぃさんとか

(金)たいへんレベルの問題で、そういう解かせかたをするのはありだと思います

中井亮平それでも、盤面の端や角で使いたいですね。まわりに四角が決まっていてくぼんでいるところとか。まわりに壁や数字がない空間で使われると見えないです

Guten四角に切れって、やろうと思えばすごく難しい解かせかたもできるんですよね。たとえば、四角の切りかたが2通りに絞られたときに、こちらの切りかただとあまったこのマスをどの数字も引き取れないからこっちの切りかただ、というような。そういうのを許せばいくらでも難しい問題が作れるんですよ。ただ、作家がそれぞれ自分で制限を課して、やりすぎないようにしているんじゃないでしょうか

(金)nikoli.com以前の、紙だけしかなかった時代はそちらの方向に進んでいってましたね

(竹)四角に切れが一時期低調だったのもそれが理由かもしれませんね

Guten紙だと、仮押さえの印をつけるのがめんどくさいんですよね。nikoli.comだとラク。おもしろく遊べるようになったところに、パズルの中身としてもサクサク解けるものが多かった。それが紙面に逆輸入されたんだと思います

(金)それで実際、紙で解いてもサクサク系はおもしろかったので、人気を盛り返したということかな

中井亮平でも紙の場合はマスの数を数えるのがめんどくさいから、大きい数字は使いにくいですけどね

Guten数えるのはボクはキライじゃないですよ

中井亮平数え間違いが起こるのが困るんですよね。数え間違いのせいでハタンしてしまうと残念な気持ちになります

(竹)数字についてのこだわりはありますか?

Guten偶数の数字は1×Nの四角にしたいですね

中井亮平たとえば22は1×22にしたいですよね。大きいサイズの問題限定の話ですけど

Guten24を使うんなら、2カ所で使って片方だけ1×24にしたいです

中井亮平こないだnikoli.comで真ん中に36が4つ並んでいる問題を作っていましたよね

(竹)同じ数字だけど切りかたが違う、ということですね

Gutenそうです。意外な切りかたをしたいんです。もっというと、解き慣れた人には『意外』というより『来るぞ、来るぞ』と思ってもらえる問題にしたいです

(金)ホラー映画みたいですね。怪物が徐々に迫ってきて、来てほしくない、来てほしくないと思いつつ、実際に来たら『来たー!』と喜ぶような

Gutenもともとは、理詰めでなくカンで解こうとしたら間違うように作りたかったんです。12だったら、直感的には2×6とか3×4とかが先に考えつくから、じゃあ1×12にしようか、と思ったのがきっかけです

(金)中井さんもそういう数字へのこだわりはありますか?

中井亮平数字にはあまりこだわりはないです。数字の場所は気にしています。隅っこから四角を決めていくのが好きです。同じ一通りに決まるときでも、それが盤面の中のほうにあるのと隅っこにあるのとではわかりやすさがぜんぜん違いますよね

(金)四角の決めやすさ優先なんですね

中井亮平自称『らくらく作家』としては、譲れないところです(笑)

(金)最近、難しい問題もよく作るようになって『たいへん作家』になりつつありますけどね

(竹)おふたりがいちばん好きな数字ってなんですか?

中井亮平12ですね。12か18か24

(金)約数が多い数字ですね。わかりやすい好みだ

中井亮平約数が多いんだけど、スパッと決まる展開が好きなんですよ。意外性があって

Gutenでも、もったいない感じがしません? せっかくいろいろ分けられる数字なのに

中井亮平そこはまぁ、サクサク系作家としてのこだわりということで

Gutenその思い切りがすごいです

(金)中井流ですね

(竹)Gutenさんの好きな数字はなんですか?

Gutenボクは16です

(竹)4×4、2×8、1×16の3パターンですね

Guten正方形が作れるのがいいんですよ。正方形か、2×8か。たまに1×16もアクセントで使えるのもいいです。ほんとうは25も使いたいんですけど、それだとどうしても大味な問題になってしまうんですよね

中井亮平数字の好き嫌いでいうと、素数は嫌いです。素数は7までしか使いたくないです。四角のパターンが少ないからです

Gutenボクは逆に四角のパターンが少ないほうが好きです。2についてはどうですか?

中井亮平大きい数字ばかりの問題を作っているときに『ここは2を入れるしかない』という場面が出てきたら負けた気になります(笑)

Gutenそういう数合わせの場合はそうですね。積極的に2を使うことはないですか?

中井亮平使わないですね。2を使った特徴的な手筋ってあります?

Gutenありますよ。2方向のどちらかにのびることがわかっている2が、なかなか決まらないままいっぱい残っていて、ひとつ決まるとダーッと決まるのが好きです

(金)それはかっこいいですね

(竹)数字の好みにも個性が出ていておもしろいですね



(竹)最後に、四角に切れが苦手な方へ向けて、四角に切れを楽しむヒケツなどあればお願いします

(金)九九を覚えましょう、とか?

中井亮平仮押さえを覚えるとおもしろくなると思います

Guten四角に切れはカンで解く人が多いと聞いています。楽しければそれでもいいと思います。でも、カンで解いたあと、理詰めでも解いてみると、理詰めのおもしろさがわかるかもしれません

(竹)今日はありがとうございました


座談会開催 : 2010年12月 2011年1月12日公開

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