パズル作家座談会 第15回

インタビュー作家座談会

パズルについてあれこれ語る ~おらけ&まいなすよんの巻~

パズル作家と語りあうパズル作家座談会のコーナーです。ゲストはおらけさんまいなすよんさん。生年月日がわずか1日違いというおふたりです。今回は特定のテーマを設けずに、パズルについてあれこれ語ってみよう、という形で開催しました。はてさて、どんな話題が飛び出すでしょうか。ニコリからは(金)(竹)が参加しました。

(竹)まずは、パズルとはなにか、について話してみたいと思います

おらけいきなり壮大なテーマだなあ(笑)

(金)わかりやすいところで、たとえ話はどうでしょう。たとえば、『パズルとはおでんである』

まいなすよんお、おでんですか!?

(金)おでんの具のように、パズルの問題にはそれぞれに味が染みている。そして、作り手によって味が変わる

(竹)なるほど

おらけ食べ物にたとえるなら、パズルはおやつでしょう

まいなすよん食事として3度3度食べなくてもいいけれども、ないと寂しい

(金)ついつい次に手が伸びる

おらけそうそう。ただ、今はパズルを人生の本筋にしているプロのパズル作家もいますね。ボクらは本筋とはちょっと離れているところでやってるからおやつだと思います

まいなすよんちゃんと食べていくための仕事は別にありますからね

(金)おやつといってもいろいろな種類があります。せんべいとか、キャンデーとか。お菓子の種類をパズルの種類に結びつけると?

おらけ数独とかクロスワードとかは…ポテトチップ

(竹)定番商品ということですね

おらけ激辛数独は文字どおり激辛のスナック菓子かな(笑)

(竹)ニコリでは毎号新しいオモパ(『パズル通信ニコリ』で連載されている、新しいペンシルパズルのルールをみんなで考えるコーナーで生まれたパズル)が出ているけど、お菓子も定期的に新商品がよく出ます

おらけ毎年冬になるとチョコレートの新製品が出てきますよね。いつの間にか定番になって毎年出てくるようになっているのもあります

(金)だいたいはすぐ消えてしまうんだけど、たまーにロングセラーが出てくる。オモパと似ていますね

おらけたとえ話から離れて、定義の話をしたいです。パズルの定義について、ネットではいろんな人が『私はパズルとはこういうものだと思う』というようなことをレビューしていますよね

まいなすよんあれもパズルだ、これもパズルだ、って、いろいろなものをパズルに含めようとしている人もいます

おらけパズルとクイズの違いという話もよく見かける

(竹)ああ、よくありますね

おらけボクはむかしから、知識でなんとかするのがクイズで、知恵でなんとかするのがパズルだと思っています。ボク自身はパズルもクイズも好きなんですよ

まいなすよんどっちを先に好きになったんですか?

おらけどっちだろう? 同じくらいかな。小学校の早い段階からウルトラクイズのようなテレビのクイズ番組は見てたし。当時はクイズ番組がいっぱいありました

まいなすよんありましたねえ。今、パズルと比べて、クイズをする人や団体が多い感じがするんですが、そのころの名残なんでしょうか

おらけそうかもしれない

まいなすよんクイズは人が集まらないと楽しめないっていう印象があります。パズルはひとりでできるから、ボクはパズルのほうが好きなんですよ。みんなとクイズしたいというあこがれもあるんですけど

おらけクイズにもいろいろな取り組みかたがありますよ。ひたすら硬派に知識を増やすことに打ち込んでいる人もいます。ボク自身は人と集まって早押しクイズをするのが好きです。クイズの問題が読まれている途中でも、ボタンを早く押せば答えることができる

(竹)純粋な知識で勝負するというわけではないんですね

おらけそうですね。単に知識の量を争うよりも、そちらのほうが好きです

(竹)クロスワードはどうでしょう? 知識が必要なんですけど、クイズではないですよね

おらけクイズではないですね。でも、知識を試されるおもしろさもある

(金)知識を試すのが楽しいと思う人もいるでしょうけど、クロスワードのおもしろさはやっぱりパズル的なところでしょう。たとえば、意外なカギなのにごくあたりまえのコトバが出てきて、ああこのカギはそういう意味だったのか! と気がつくようなところ

おらけパズルっぽいものとクイズっぽいものが交互にくるのもおもしろいですよね。このコトバはすぐわかって、そうするとこのタテのコトバの2文字めはこれだから…、というような。そういう楽しみかたって、知識とは違いますよね。やっぱり知恵かな

(金)ニコリでは、クロスワードはもちろんパズルです。知識に頼らなくても、タテヨコの絡みから解けるような問題にしようとしています


まいなすよん話は変わりますけど、ほかの人のパズルって、どのくらい解いていますか?

おらけnikoli.comの問題は6割くらいは解いています。紙の上では解かなくなりました

まいなすよんボクも紙のパズルは前より解かなくなりました。オモパは『パズル通信ニコリ』にしか載っていないので、ちゃんと解いていますけど。あと、周囲で評判のよい問題は優先的に解いてみる、というのはありますね

(金)nikoli.comだと、自分で解く前に問題を解きおわった人のコメントなどが見られます。おもしろそうなコメントがたくさんがついている問題を見て、よしこれを解いてみようと思うことはない?

まいなすよんボク自身は、nikoli.comで出題されるパズルはひととおり解こうとするので、それはないです。でも、解いたあとにコメントを見て、え? そんな視点があったの? と気づかされて解きなおす、ということはあります。(金)さんがいわれるように、おもしろそうなコメントに惹かれて解いてみる、という方もきっといらっしゃるでしょう。あの仕組みは非常にいいですね

おらけボクは、コメントよりもパズルの種類で解くのと解かないのが極端に分かれています。解くパズルはほぼすべての問題を解きますが、解かないパズルはたまにしか解かない

(金)おらけさんだと、解かないパズルは…数独、カックロあたりかな?

おらけそうですね。カックロはほとんど解いていないです。数独は難しいのは解きますけど。どちらも数字を入れるパズルで、パソコンで解くのにあまり向いていないのかもしれない。脳の動きに、手が追いつかない(笑)。数独のたいへんレベルの問題だと、なかなか手が進まないからあまりストレスにならないですけど

まいなすよん紙のパズルといえば。こないだ、大学生のパズル好き何人かと話す機会があったんです。そのときに、彼らの『パズル通信ニコリ』を見せてもらったんですけど、発売後1カ月くらいしか経っていないのにほとんど埋まっていたんですよ。すごいなあって思いました

おらけボクも高校生のときは解いていましたよ

(金)発売後1カ月で真っ黒でしたね

まいなすよんボクも最初は真っ黒にしていました

(竹)もし今、おふたりが高校生だったら、どうなんでしょう。紙でもしっかり解いていた?

おらけ解いていたでしょう

(竹)ケータイとかで解ける環境があったとしても、それでも紙で解いていた?

まいなすよんケータイも紙も、両方でやってたと思います

おらけケータイとかパソコンとかだと、学校の授業中にできないしね(笑)

(竹)それぞれに適したシチュエーションがあるといったところでしょうか。ニコリのパズルは本やパソコン、ケータイ以外にゲーム機でも解けます。おふたりは遊ばれていますか?

おらけ遊んでますよ。こないだ出たPSPの第一集(『ニコリの数独+2 第一集』)は、500問中470問くらい終わりました

まいなすよんボクもけっこうやってます。へやわけとぬりかべは全部解きおわりました

(竹)すごい。ゲーム機とパズルの相性ってどうですか?

おらけいいよねえ。特に、電車の中でやるときに手軽です。紙と違って、横に広がらないのがいいですよね

まいなすよん電車を待っているときや、立っているときでも平気ですしね。そういう意味では、ケータイも便利です。ボクはケータイを2台持っているんですけど、2台めはケータイ数独のために買ったようなもんなんです。待ち受けもケータイ数独のスケジュール画像だし

おらけただ、ゲーム機にしろケータイ数独にしろ、電車で気軽に解けるものが出てきちゃうと、今度は電車の中で問題を作らなくなっちゃうんですよね。電車の中って貴重なパズル作りの時間だと思うんですけど。集中できるから

まいなすよんそうなんですよ。だから、電車に乗るときは毎回、なにをやるか悩みます。PSPでパズルを解くか、ケータイで解くか、それとも問題を作るか。パズル以外に、本も読みたいし

おらけパズルを解くのって、作るときよりモチベーションがいらないんですよね。だからつい安易に解くほうに走っちゃう。作るのにはなんらかのモチベーションがないとツライんですよね

(金)電車の中でのパズル作りのライバルは、パズルを解くことだ、ということですね。ほかになにかパズル作りのライバルってあるかな?

おらけ最近は、持ち歩いてなにかできるものが増えましたよね。話に出たPSP、DS、ケータイ電話はどれもパズル以外のこともできるから、パズル作りのライバルになりえます

(金)私は電車に乗ったときは、文庫本を読んでいます。家にいるときは本を読まないから、電車の中でこそ読みたいんですよね

まいなすよんボクも30分以上の長い時間乗るときは本を読みます。ニコリファンにも、読書が好きだって人はいますよね

(金)もちろんいっぱいいるでしょう

おらけボクの場合、長時間電車に乗るときは睡魔がパズル作りのライバルです。同じ電車に1時間乗るときはだいたい寝ています。電車で寝るのって気持ちいいんですよね。電車の中に限定せずにいうと、ニコリのパズル作家には、パズル以外の趣味を持っている人がたくさんいますよね。そういう人は、その趣味がパズル作りのライバルになると思います。パズルだけが趣味じゃないから

まいなすよんそうですね。ボクらはどうしてもパズルに目がいっちゃいますけど、見えないところで別の趣味を持っているパズル作家は多い

おらけボク自身、趣味でゲームセンターに通っているし。パズル作りに割く時間とほかの趣味に割く時間との兼ね合いについていろいろ考えている作家は多いと思います

(金)私の場合、パズルは趣味でなくて仕事だからなあ。パズルを趣味のひとつとして考えられるのはある意味ではうらやましい

おらけボクらパズル作家は、楽しいから作って、楽しいから解いているから、趣味です

まいなすよんニコリは、専業の作家と契約してその作家が作った問題を載せる、という形じゃないですからね。完全に趣味だと思います

おらけモチベーションがあがらないときは、ちょっと投稿する題数を減らしたりしていますし。自由といえば自由

まいなすよんもし専属の作家だとしたら、たぶんあまり冒険できなくて、100点満点で80点くらいの作品をたくさん作るんじゃないかなと思います。ボクらは120点の突き抜けた問題も作るし、40点のダメな問題も作る。それをそのままニコリに渡して、ニコリが選んでいる

(金)ニコリの作家は、依頼された数をがっちり作って、どれもそのまま掲載される、というわけじゃないんですよね。おらけさんにしろ、まいなすよんさんにしろ、ボツ問題はあります。そして、ふたりともボツがあることを容認してくれているんです

まいなすよん効率とかを考えはじめると、ニコリのやりかたは実はよろしくないのかもしれませんね。ニコリのパズルは、すごくぜいたくな環境で生まれたパズルなのかも



おらけさっき、大学生の話が出てきましたよね。それで思い出したんだけど、今の若いパズル作家ってむかしよりまじめだなって思いません?

まいなすよん思います。ネット上で活発に議論しているのをよく見かけます

(竹)みなさんよく考えていますよね。いろいろと

(金)確かにまじめですね

まいなすよん議論をできる場が広がったのもあるかもしれない。ボクが学生のころは、ネット上でパズルの議論をする場なんていくつかの掲示板くらいしかなかったですし。今はいろいろな場がありますよね。ツイッターもあるし

(竹)でも、直接会って話をすることはあまりない気がします

(金)私はむかしから、若い作家と直接会って話をしてきているんですよ。おらけさんともよく話をしました

おらけこちらから編集部に押しかけていましたよね。金さんはほんとに率直なことを言ってくれるんです。おらけはカックロ下手だよな、とか(笑)。でも、そのおかげで今ではカックロは超上手です

(金)編集者と作家の双方のためにも、直接のコミュニケーションって大事だと思いますね

まいなすよんおらけさんは、今パズルを作りはじめていたとしても、むかしのように(金)さんと話をしに行ったと思いますか?

おらけしてるよ。絶対しています。ネット上の議論もいいんだけど、直接顔を合わせないと伝わらないことは絶対にある。自分の声で話をしないと

(金)今でも直接話にきてくれる若い作家はちゃんといますよ。nikoli.com向けに問題を作りたいと売り込んできたり。もちろん、nikoli.comの作家になるには相当の実績が必要ですけど

おらけそれはうれしいなあ。そういう心意気のある若手作家がどんどん増えてくれるといいですよね

まいなすよんほんとうにそう思います

(竹)若い作家に希望を持ったところで、本日はお開きとしたいと思います。ありがとうございました


座談会開催 : 2011年2月 2011年3月28日公開

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