パズル作家座談会 第17回

インタビュー作家座談会

パズルについてあれこれ語る ~ぽっつ&ゆーたんの巻~

パズル作家と語りあうパズル作家座談会のコーナーです。ゲストはぽっつさんゆーたんさん。前々回に引き続き、特定のテーマを設けずにパズルについてあれこれ語りました。どういう話になったかは、読んでみてのお楽しみ。ニコリからは(金)(竹)が参加しました。

(竹)おふたりとも、古くからニコリとおつきあいいただいている作家です

ゆーたん両極端のふたりがよばれた感じですね

ぽっつたぶん噛みあわないよね。ねじれの位置の関係

(金)そうですか? どういうところが噛みあわないと思います?

ゆーたん問題を自由に作っている、というところはいっしょかも。ただ、作る方向性が違うかなあと。ぽっつさんは問題をキレイに作るけど、ボクはそうじゃない

(金)ほかに相違点はあるかな?

ぽっつゆーたんさんは、作る前にしっかり考えてから作っていると思います

ゆーたんうん。始めもそうですし、作っている途中でもいろいろと考えて作っています

ぽっつボクは、感性でガッと行ってしまうほう。そのあたりのスタンスも違うかなあと

ゆーたんもっと単純なところだと、ぽっつさんはナンバーリンクを作るのがうまい。ボクは作れない

(竹)いきなりピンポイントな相違点が出てきましたね。わかりやすい相違点ですけど

(金)ゆーたんさんは苦手なパズルは作らないですよね

ゆーたんはい。苦手なものを作らないから、一部の作家からヘタレよばわりされています(笑)

(金)実際はぜんぜんヘタレじゃないですけど

ぽっつでも、苦手なものもたまには作ってくれたほうが、解き手としてはおもしろいかも

ゆーたんたしかに『この人はふだんはこれ作らないよな』というパズルを解くのは楽しそうですね

ぽっつなんとぽっつが波及効果を作ってみましたあ、みたいな

ゆーたんじゃあ、ボクはナンバーリンクで(笑)。それで思い出した。以前、ぽっつさんがナンバーリンクを作っているのを見せてもらったんですけど、とても不思議な作りかたをしていましたよね。今まで見たことがなかった

(竹)最初に線と線をつないでしまったあとに、線のつながりを保持したままで、引き延ばしたり、曲げたり、縮めたりするんですよね。言葉だけで説明するのは難しいですけど

ぽっつよくある、それぞれの数字から少しずつ線をのばしていって…という作りかただと、行きづまっちゃうんですよ。ナンバーリンク作りのスキルとして、そこから先の段階に進めなくなっちゃう。線と線がからまっているところがナンバーリンクの醍醐味なので、それを活かすような作りかたをしないと

ゆーたんボクはまったくそのレベルに行きついてないなあ。線と線がうまくつながったら終わり、という作りかたをしています

ぽっつパズル通信ニコリ』のほかの作家のナンバーリンクを見て、この問題はリミックスしてみたいなあという欲望に駆られることもあります

(竹)リミックス?

ぽっつその問題の原案をベースに、『自分が作るんだったらこう作るだろうなあ』っていうふうに作り替えること、かな。『この数字はもう少しこっちに置いたらもっとおもしろくなるかも』というような。あまりよくない考えかたかもしれないけど

ゆーたんリミックスというのはやりませんけど、他人の作品を見て『自分もこの考えかたを取りいれてみよう』なんて思うことはよくあるかも

ぽっつあるよね。ゆーたんさんは、この作家さんに影響された、って人がいます?

ゆーたんアスピリンさん。最近だと、Gutenさん

ぽっつあー、わかる

(竹)おふたりとも共通しているんですね。Gutenさんはどういうところが?

ゆーたんクリエイティブな問題をたくさん出してくるなあって思います

ぽっつまだこんなのがあるんだー、という問題が多い

ゆーたんああすげー、って素直に感動します。あんなにいろいろ思いつかないよ。ボクの場合、よくいえば『自分の作風』なんだけど、悪くいうと『同じような問題』しか作れない。さっき作家に影響されたという話をしていながらあれですけど、基本的にはボクはあまりほかの作家には影響されないんですよ。ほかの人と同じ感じの問題になっちゃうのは、やっぱりイヤだなあって思います

(金)パズルで『自分』を出したい?

ゆーたんうーん、そういう自覚はないです。そんなに出しゃばりたいというわけじゃないんですけど


ゆーたんぽっつさんがよく解いているパズルってなに?

ぽっつうーん、なんだろう

(金)ケータイの問題は、まんべんなく解いていますよね

ゆーたんボクはもっぱら、紙で数独とカックロばっかりです。超難しい問題をじっくり解くのが楽しいです。たとえばさぶろうさんのカックロとか

(竹)さぶろうさんは、ニコリで昔から活躍されている作家です。nikoli.comやケータイでは問題は載っていませんけど。どういうところが好きなんですか?

ゆーたん解き味がひたすらおもーいところです。最近、特にそういうのが好きになっちゃって

(金)仕事かなにかで行きづまっているとか?

ゆーたんそうなんですよ。夢に出るくらい行きづまっていて…って、いやいやそういうわけじゃないです

(竹)仕事で行きづまると、難しい問題を好きになるもんなんですか?

(金)難しいパズルって、現実逃避に使えるんですよ

ゆーたんカンタンなパズルだと、あっさり終わっちゃうじゃないですか。難しい問題だと解きおわるまで集中できる。だから今は重いパズルのほうが好きです。あれ、ボクやっぱり行きづまっているのかな?(笑)

ぽっつゆーたんさんは、作るパズルもパズルは難しめなのが多いって印象があります。重いし、サイズもデカイ

ゆーたん何年か前のインタビューでは『カンタンな問題が好きです』ってしゃべってたんですよ。たしかにそのときはそう思っていました

(金)当時は人生が充足していて、逃避する必要がなかったのかも(笑)

ゆーたんカックロといえば、こないだ製作依頼を受けた『とことんカックロ』(2011年4月10日発売)の問題は、仕事で中国に出張しているときに作ったんですよ

(金)やっぱり、本の依頼だとモチベーションが上がりますか?

ゆーたんモチベーションも上がりますし、義務感も出てきます

(竹)nikoli.comやケータイはこの日までに何本、という募集のしかたではありませんからね

(金)趣味として、自由に作っていただいています

ぽっつ義務感はないけど、逆にそれでいいと思います

(金)自由に作りすぎちゃって、ついつい難易度まで難しくなりすぎてボツになる問題も多いんですけどね

ゆーたんnikoli.comの問題を作るときは、凝りすぎて途中で作る手が止まっちゃうことがよくあります。考え疲れて途中でやめて、作りかけのまま1カ月がすぎちゃうこともある

ぽっつあるある。むしろしょっちゅう作りかけでやめています

(竹)途中でやめちゃうと、あとで続きを作りはじめたときになにをやっていたのか忘れてないですか?

ゆーたん忘れてます(笑)

ぽっつボクは忘れないですね。1年間でも2年間でも覚えている自信がある

(金)私はすぐ忘れちゃう。作るのを途中でやめるのは無理だなあ

ゆーたんでも、作りかけの状態をもう一回見たら、全体のコンセプトはすぐに思い出せます。数字の置きかたや入りかたで

ぽっつ作るときに、揺るぎないビジョンがあるんでしょうね。よくいえば

(金)もしかして、ふたりともあまり数を作らないから覚えていられる、ということはない?

ゆーたんあ、それもあるかも(笑)

ぽっつふたりとも多作作家じゃないですからね。寡作作家(笑)

(金)共通点だ

ぽっつでも、時間さえあればたくさん作りたいんですよ。クロスワードなんかも作りたい

ゆーたんボクもそうです

(竹)おふたりとも投稿されるパズルが偏っているので、作るパズルを選んでいるのかと思っていました

ゆーたん時間があったらいろいろ作りたいですよ。それこそ、オモパ(新しいペンシルパズルのルールをみんなで考える『パズル通信ニコリ』のコーナー『オモロパズルのできるまで』で生まれたパズル)とか

ぽっつボクは、カックロに挑戦してみたいです

(金)カックロは作りやすいパズルですよ。作者の思うように問題をコントロールできます。これが数独だと、難しくしようと思っても、別のところから解けたりして、そのとおりにいかない

(竹)ぽっつさん、ぜひたくさん作ってください


(金)おふたりにとって、パズルってなんですか? 娯楽? 人生?

ぽっつ何度も言ってるけど、やっぱり、アートですね。愛でたり、感じたりするもの

(金)自分が問題として表現するのもアートであり、他人の問題を感じるのもアートであると

ぽっつそうです。美術品みたいな扱い

(竹)ゆーたんさんはそれについてどう思いますか?

ゆーたん昔は、アートまではいかないけど、『自分が作った問題なんだ』って自己表現するものだと思っていました。でも、今はもうまったくそういう考えはないです。自分の好きなことをやっている。解く人のことをあんまり考えてないで作っています

(金)前回のインタビューでは、相手のことを考えるようになったっておっしゃってましたよね。一巡したんですね

ゆーたんそうですね。みんなそうだと思うんですけど、最初は自分の作りたいように作っていた。そのあと、雑誌に載るようになって、相手を意識しだした。たとえば、見栄えをよくしたり、ここでこう仕掛けたら驚いてもらえるだろう、なんて考えたり。それで今は、最初に戻った感じ。自分のやりたいことをやる

(竹)一巡したというのがいいですよね。いちど解く人のことを考える作りかたを経験して、そのうえで戻ったというところ

ゆーたん『自分を表現する』という考えかたについても、どうなのかなと疑問に思っています。出しゃばっている感がして

ぽっつボクは『もっと私を見て!』くらいでいいと思っていますけど(笑)

ゆーたん最初はボクもそうでしたね

(金)ゆーたんさんはゆーたんさんで、自分にしか作れない問題をたくさん作っていると思いますよ

ゆーたんそう言ってもらったとき、昔だと『うれしい』と思っていたんですよ。今はそれもないです。たまたまそういう問題ができたというだけで

(金)他人の評価なんてどうでもよくなってきた?

ゆーたんだんだんそうなってきました

(金)なんだか仙人に近くなってきましたね

ゆーたんだから数独やカックロしか解かないんです。あからさまに仕掛けが見えちゃうパズルが苦手になってしまって

(竹)そんなゆーたんさんにとって、『解いておもしろい問題』とはどんな問題なんですか?

ゆーたんひたすらドロくさいパズルがいいです。数独の難しいので、数字1個入れるのにすんごい苦労して、やっと入ったから次はスラスラ行くかなーと思いきや、ぜんぜん進まない、みたいな(笑)

(金)そういうのが好きなんだ

(竹)ぽっつさんはどうですか? ドロくさいのは好き?

ぽっつほどほどですね。というか、ドロくさい、ドロくさくないというのはどちらでもいいです。いい意味で期待を裏切ってくれる問題が好き

ゆーたんそれはいいですね。ボクも展開を読める問題を解くのは苦手

(金)私が大きなサイズの問題を作るときは、ドロくさくなっちゃうことが多いんです。仕掛けを入れたくないんですよ。最初から最後まで楽しんでもらうためには、大きいサイズだと1個の仕掛けじゃ足りないんですよ。そうするとチマチマしたドロくさい問題になっちゃう

ぽっつなるほど、だからボクは大きい問題を作るのが苦手なのか。なにかしらの仕掛けで感動する問題が好きだから。それで小さい問題に走ってしまう。感動する、というのもアートです

(金)ニコリとしては、パズルはエンターテインメント。そんな中で、パズルがアートだと言い続けるぽっつさんのような作家がいるというのは、ほんとうに大きい

ゆーたんボクはアートな問題もいっぱい見てきて、ドロくさい問題もいっぱい見てきました。今はドロくさいほうに惹かれています。アートのよさも知ったうえで、ドロくささを選んでいます

(金)いろいろな人がいて、いろいろな受け取りかたをして。だけど、ゆーたんさん的にはこれがいい、ぽっつさん的にはこれがいい、というのがいいんです。作家に多様性があって、ニコリがそれをすべて受け入れているから、ニコリはおもしろいんだと思います

(竹)今回の座談会では、ニコリの作家陣の幅広さを再認識できました。今日はありがとうございました


座談会開催 : 2011年4月 2011年5月12日公開

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