パズル作家座談会 第19回

インタビュー作家座談会

できあがったパズルの修正

パズル作家と、いろんなことを話し合うパズル座談会です。今回のゲストは、Gutenさんおがわみのりさん。完成したパズルを修正することが多いおふたりに来ていただきました。手直しに関するあれこれをうかがいましたよ。ニコリからは(金)と(竹)が参加しています。

(金)おふたりとも、一度完成したパズルの原稿を修正することが多いとうかがいました。私は、瑕疵がなければほとんど修正しないタイプなんで、修正についてあまり考えたことがないんですが、まずおふたりに、修正する意味を教えていただきましょう

Guten私は単純に完成度が低いから修正します

おがわみのりぼくは1回組み上がった段階を完成とはいわないです。別解があるかもしれないじゃないですか

Gutenそれは解きチェックなのでは? みのりさんには、解きチェックと修正はセットになっているんですか?

おがわみのりそうですね。解きチェックしながら修正を入れるのがあたりまえになってます。1~2回で終わることもあるんですけど、長いと5回以上修正したり解き直したりしますね

(金)修正したことによって、新たな別解の危険もあるから、毎回解きチェックプラス修正ということになるんですかね

おがわみのりその通りです

(金)Gutenさんは、何回ぐらい修正するんですか?

Guten私は最低でも5~6回、多いのでは20回は解いてます。毎回必ず修正するわけではないんですが

(金)完成度を高めるための修正なんですか?

おがわみのりぼくはそうです

Guten私は、完成度が低いから修正すると言ったんですけど、完成度を高めるための修正ではないんですよ。悪いところをつぶすための修正のつもりなんです。私は、自分で解いてチェックするときに、見せ場がつぶれていないか、解き味の悪いところ、残念なところがないか見つけて、そこをつぶしていくための修正なんです

(金)それも、結果的には完成度を高めているような気もしますね。で、残念なところ、というのはどんなところですか?

Gutenたとえば、表出されている数字が対称配置の問題で、対称位置が同じような解き筋になっているところなんかは、とても残念です

(金)なるほど、よくわかります。修正した結果、元より悪くなっちゃうことってないんですか?

おがわみのりありますね。そんなときは、修正版は捨てて、前に戻ります

Guten私もですね

(金)自分で作った問題だと、なかなか客観的に見られないなんてことはないですか?

Gutenあります。だから私は、いったん完成してからすぐに投稿はしないんですよ。短くても完成してから2カ月、長いと完成してから1年あけてから投稿します。投稿する前にも必ず解き直してますけど、そこでまた修正することもよくあります

(金)それでひとつの問題で20回も解いたりするんですね。そんなに解くと、問題そのものを覚えますか?

Gutenたくさん解いたのは覚えてます。5~6回しか解いていないのは覚えていないですね

(金)みのりさんも、必ず何回も解くんですか?

おがわみのりほぼ全部のパズルでなんですけど、作って完成して解きチェックでOKだと思えば、そのまま送ることもあります

(竹)そうなんですか。意外ですね。たとえば数独なんか修正が難しくないですか?

Guten数独は難しいですね。作ったときにねらった難易度にならないことも多いんですけど、面白ければOKにします。数独でも、数字を入れ替えたり、行や列を入れ替えたりすると、全然違う問題に見えますからね

おがわみのりナンバーリンクでも、数字を入れ替えるだけで違いますよね

(竹)なるほど、そういうところまで修正するんですね

(金)修正しやすいパズルってありますか?

おがわみのり手直しをたくさんやるのはナンスケですね。ナンスケも数字を入れ替えても本質は変わらないんだけど、リストの並び順を変える意味があるんです。18個だから2列になるだろうから、列の境目をここにしようとか

(金)レイアウトまで考えてるんだ!

(竹)ふつう気づかないですよ。気づかれなくてもいいんですか?

おがわみのりいいんです(笑)

Gutenみのりさんのへやわけは、変わった感じがする問題が多いように思います。あえて不自然にしているような気がしちゃうんだけど。私は解き直して修正すると、角がとれてふつうの問題になっていくんで

おがわみのりへやわけは無理矢理修正してますね

Gutenそれはミスしている部分の修正ですか、それとも気に入らないところの修正ですか?

おがわみのりどちらもあります。その修正に無理するから、変わった感じの問題になっちゃうんでしょうかね。へやわけもですけど、ぬりかべもよく手直しします

Guten私は、ぬりかべは直しているうちに簡単なほうに向かいますね。私の問題は水戸黄門的に見え見えな展開になっちゃいます

おがわみのりぼくは、いっぱいマスがあってひとつふたつ黒マスになるのが大好きなんですよ。思いついちゃうと、周りの数字をいじりだします。真ん中であと2マス塗るということをやりたくなると、どんどん変えますね

(金)ああ、それみのりさんらしいな

Guten私はぬりかべでは、無理すれば解けるようなところを消すことが多いですね。ここだけは白マスが決まる、というところから解けるのがいやなんですよ

おがわみのりぬりかべはよく手直しするんですけど、ぬりかべって修正が難しいパズルですよね。こういう方向にしたい、と手直しをすると、ぜんぜん違う方向になることがありますよね。いかに、初期の構想に戻すのかが難しいです。対称形が作者の義務ではないパズルを対称形で作ると、手直しをするのがものすごく大変になりますよね。だからぼくは、ぬりかべやへやわけでは対称形はやらなくなりました

Guten私は対称形にすることが多いです。修正の足かせにはなりますけど、面白ければいいですね。いったん保存して修正してうまく対称形にもっていけばOK。解き味を優先して対称形がどんどん崩れることもあるんですけど。凝っていると修正しているうちにどんどん洗練されて、解きにくくなることもありますよね。たとえばナンバーリンクがそうですね

(金)修正するときには、どんなことを考えているんですか?

Guten私は、さっき悪いところをつぶすための修正だと言いましたけど、もっといい思いつきをしたいということもあるんですよ。作るときに見せ場を必ず用意するんですけど、ここにもうひとつ見せ場が入れられるとか、こういう見せ場なんだけど、もっといい導入はないかなあとか。見せ場を捨てても、もっといいものを思いついたら改造します。大修正になりますけど

おがわみのりぼくは、解きチェックと修正では解き筋の確認の意味が強いですね。別の枝道がないかどうかは、気にしてます

Guten一本道で解かせるんですか?

おがわみのりわりとそうです。comのパズルではそうでもないけど、作るときにシナリオを考えながら作っているので、目指しているストーリーからはずれているところは直したいですね。だからぼくは、マイナスを消す修正のほうが多いのかな

(金)修正するときに、シナリオから変更することはないんですか?

おがわみのりあらすじは変えません。あとからシーンをはさむこともありませんね

Guten私はストーリーから変えます。まったく違う問題になってもかまわないと思ってます

(竹)修正することのメリット、デメリットって何ですかね?

おがわみのりメリットは、満足できる解き筋、難易度に調整できることですね。デメリットは時間がかかることかな

Guten私は、メリット、デメリットではなく、残念なことを避けるために、修正はやらざるをえないものだと思ってます。とはいえ、修正すればするほど完成度があがる手応えはないんですけど。悪いところをつぶせることはありますけど、いいことを思いつくのは7~8問に1問ぐらいしかないですから。それでも、最終的には品質につながっているのだとは思います。私は、パズルごとに修正する意味がちょっとずつ違って、細かく説明すると、それぞれのパズルに30分ぐらいかかっちゃいます(笑)

(金)おふたりとも、よりよくしたいから修正しているのだと思いますが、そもそもいいパズルってどんなパズルでしょう?

おがわみのり解いたときにしっかり楽しめるものですね。解く人が楽しめるパズルがいいパズルだと思います。作者の思い通りではなくても、ストーリーがおかしくなっていないものというのが基本ですね

Guten私は、面白いのがいいのか、マイナスが少ないのがいいのか、パズルによっても違うんです。作者の表現したいことが伝わればいいパズルなのかもしれませんが、私はそっちは気にしていません。面白がってもらえるといいなと思っているので、私にはパズルは自己表現ではなくてエンターテインメントですね。びっくりマークがつくようなものがなにか入っていればいいんです。それを1個でも増やしたいですね

(金)独自性が大事なんですか?

Guten独自性というのはちょっと違うかな。これでも、nikoli.comに足りないところを補っているつもりなんです

(金)なるほど、同じ修正でも、おふたりで同じように考えているところとずいぶん違うところがあるんですね。おふたりのお話を思い出しながら問題を解くと、ここは修正したところだな、とわかるかもしれませんよ


座談会開催 : 2011年8月 2011年9月12日公開

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