パズル作家座談会 第25回

インタビュー作家座談会

海外でパズルを!

ケータイパズル数独やnikoli.comの問題を作ってくださっている作家さんと、ひとつのテーマについてお話する作家座談会のコーナーです。今回は海外とパズルとの関わりについて、海外経験の多い339さんとゆーたんさんといっしょに語りあいました。ニコリからは(金)(竹)が参加しています。

(竹)今日は、パズルと海外をテーマに話したいと思います。ちょうどおふたりとも数日前に海外から帰ってきたところだそうで

339はい。ワシントンの学会に出てきました

ゆーたんオレはカナダのカルガリーに行っていました。知り合いがやっているイタリア料理屋で、肉ばっかり食べていました(笑)

(金)私もたまたま先週、南太平洋の島で遊んできました

(竹)偶然とはいえ、私以外はみんな海外帰りなんてすごいなあ。おふたりは、年間にどのくらい海外に行っているんですか?

339年に8回~10回かな。3カ月に2回くらいのペースで海外に行っています。学会への参加なので、1回の滞在は1~2週間ほどです

ゆーたん学会ってそんなにたくさん開かれているんですね。オレは中国に工場がある会社に勤めていたので、多いときは2カ月に1回のペースで中国に出張していました。今は、旅行であちこち回っています。最近行ったところではメキシコとかトルコがよかったです

339観光で行くのはいいなあ。ボクは仕事で行ってばかりなので

(金)これまでに何カ国ぐらい回ったんですか?

ゆーたんちゃんと数えてないですけど、20ぐらいじゃないですか

339ボクは23カ国かな

(竹)いい勝負ですね。(金)もけっこう行っていますよね

(金)10カ国ぐらいです。遊び目的でビーチリゾートにも行ってますよ

339学会もときどき、集客のためにリゾートで開かれることがあるんですよ。今までに行ったいちばんのリゾート地はカナリア諸島です。めちゃめちゃリゾートでしたね。学会の合間にプールで泳いでいました

(竹)海外にいるときも、パズルをやっていますか?

339やっています

ゆーたんやっています。一人旅のときは、すごくたくさん作っていました。今は嫁と二人旅が多いので、作るほうはそうでもないです。でも、行き帰りの飛行機の中ではハード(たいへん)の数独を解いています

(竹)難問限定なんですか?

ゆーたんそうです。長時間乗るのでミディアム(おてごろ)とかだとすぐ終わっちゃって間が持たないんですよ。10時間のフライトで、ハード数独を10問解く感じです

339ボクは仕事で行くので、飛行機の中ではプレゼン資料の準備をすることが多いかな。でも、移動中はいろいろと無駄な空き時間ができるので、パズルは解きますよ。空港で飛行機を待っているとき、インターネットにつなげる状況ならパソコンでnikoli.comにアクセスして遊んだりしています。ネットにさえつながれば遊べるのでnikoli.comは便利ですよ

(金)世界のどこでもつながりますもんね。飛行機の中ではつなげないけど

ゆーたんオレは数独とカックロの本はいつも持っていっています

(金)本といえば、海外ではどこへ行っても、マガジンスタンドでSudokuをタイトルにつけた本が大量に売られていますよね。ああいう本を買ったりはしないんですか?

ゆーたん買わないです。あまりにも種類が多すぎてどれがよくてどれが悪いかわからないから。でも、本屋を見たら寄るようにはしています。パズルの本があるかなって。クロスワードと数独の本はどこの国にもあるんですけど、それ以外のパズルはほとんどないですね

339シークワーズも見かけるような

ゆーたんああ、よくありますね。あとは、カックロがちょろっとあるくらい

(金)2、3年前の話ですが、ドイツではカックロやスリザーリンクが当たり前に売られていました。スリザーリンクはニコリが絶対やらないような変形のものもありました。ふつうは1マスに1個数字が入っているけど、それを拡張して2×2のマスに数字を入れて、まわりの8辺で考えさせるスリザーリンク。7とか入っていました

ゆーたんニコリでぬりかべとか美術館とかを海外でも出しているという話は聞くんですが、海外の本屋で見たことがありません

(竹)海外の出版社に本を渡しているので、あるはずなんですけどね

(金)海外はbook(本)とmagazine(雑誌)で流通がぜんぜん違うんですよね。海外でパズルといえばmagazineが主で、bookはあんまりないんです。アメリカだと本屋でも売られていますが

339そもそも海外の町中で、magazineなりbookなりでパズルを解いている人をあまり見たことがないです。みんな新聞で解いています。こないだのワシントンでも、おじいちゃんが新聞でがんばって数独を解いていました

ゆーたん数独を解いている光景はオレも何度も見ました

(金)日本の電車内だと、新聞よりも本や雑誌で解いている人を見かけることが多いですよね

(竹)たしかに新聞で解いている人は日本ではあんまり見かけないですね。パズルが海外での時間つぶしになるというのはわかりましたが、ほかに、海外でパズルを作ったり解いたりしていていいことがあった、という話はありますか?

339話題のタネになりますよ。海外でも数独ってみんな知っているじゃないですか。学会で出会った人に自己紹介するとき『数独を作るのがオレのサイドビジネスだ』と説明すると、興味を持ってもらえます。もちろん実際はサイドビジネスなんかじゃなく単なる趣味なんですけど、サイドビジネスと言ったほうが場が盛りあがるので、ジョークで言っています(笑)

ゆーたんへえ。オレは海外でそこまで踏み込んで話したことはないなあ

339情報系の学会に参加しているので、もともとパズルに興味がある人が多いというのもあるかもしれません。学会の休憩時間などにnikoli.comにつないで遊ぶことがあるんですよ。そうすると、まわりにいるほかの聴衆に見つかって『遊んでるね』と言われる(笑)。そのときに『これは遊びじゃない、オレの仕事なんだ』と返すんですよ。そうすると向こうが食いついてくるんです。それでニコリの話になって、盛りあがるんです。数独以外のパズルを解いていると食いつかれやすいです

ゆーたん数独以外のパズルは知らない人が多いのかな。日本でもそうかもしれないけど

339ゆーたんさんはそういう経験はないんですか?

ゆーたんないですね。そもそもオレは観光で海外に行くことが多いから、旅先では遊ぶのに忙しくて人前ではパズルをやることもあまりないです。でも、海外でパズルとまったく関係がない会話をしているときに、急に数独という名前が出てくることはあります。どこから来たというようなふつうの会話から始まって、成田から来たと答えたら、飛行機の中は退屈だっただろう、機内で数独でもやってたんじゃない? と向こうからポンと言われた

(金)どこの国?

ゆーたんスイスです。海外の人から数独という言葉がすっと出てきたことが驚きでした。ずっと気になっていたんですけど、nikoli.comには海外の会員もけっこういますよね。あの人たちがnikoli.comに入ったきっかけってなんなんでしょうね

(金)なんでしょうね。私たちも知りたいです

ゆーたんきっかけは数独で、nikoli.comでほかのパズルを知って入会したのか。もとから本などで別のパズルもよく知っていて入会したのか

(金)海外の会員は、最初からパズルファンで入会する方が多い印象があります。海外の一般の数独好きの人がnikoli.comへ入るということはあまりないようです。日本人だと月に数百円払うのは本を1冊買うくらいだと思えるけど、海外の人だとネットに毎月数百円も払うのか、と躊躇されてしまうみたいです。しかも今は円が高いから

ゆーたん海外の人がどこでパズルを知るのかには興味があります。インタビューでも話しましたけど、タイでニコリの問題をパクった本を見かけたときは衝撃的でした。数独以外のパズルが海外の本に載っているんだと。ちなみに、自分の作った問題も載っていました

339そういえば、韓国でボクの問題がパクられた本がありました

(竹)そういう本を見たとき、正直どう思いました?

ゆーたん正直うれしかったです。世界で自分の問題が解かれているということで単純にうれしいです

339ボクはあんまりうれしくないなあ。そこに問題に対するリスペクトはないだろうから

(金)作者の名前すら載っていないですからね。パクり本でいえば、ニコリの本が最初に海外にパクられたのはたぶんナンスケのペンシルパズル本なんですよ。フランスで出たんです。当時は答えのページが手書きの数字だったんだけど、それも手書きのままコピーされていたのですぐにわかりました(笑)

(竹)ナンスケですか。売れたんですかねえ?

(金)売れなかったんじゃないかなあ。もう20年以上の前の話ですし

(竹)どうしてナンスケを選んだんでしょうね

339入れるものが数字だけ、というのが大きいのかな。ルールのわかりやすさって重要ですよね。さっきの学会でほかの人にパズルを紹介するときも、開いていたのがヤジリンだったりすると説明するのが難しいんですよ。ルールが複雑すぎて

ゆーたん英語で説明したんですか?

339しましたよ。ほっといて、とも言えないですから。すごく困りました。やっぱりルールはカンタンなほうがいいです(笑)

(金)そういう意味で、四角に切れは説明がしやすくてすばらしいね

ゆーたん数独よりもわかりやすいかもしれませんね

339でも、いちばんルールの説明がカンタンなのはナンバーリンクです。同じものを線で結べばいいんだよ、でいい。ただ、ルールの説明のあともう一歩踏み込んで、じゃあどうやって解くの、と聞かれたら困ります。どう言えばいいのかわからない。いろいろトライして、というと完全に論理的じゃなくなってしまうんですよね。解きかたを説明するということなら、まだヤジリンのほうがいい(笑)

(竹)以前のインタビューで、ゆーたんさんは、世界を旅するようになって考えかたが変わった、とおっしゃっていました。自分のパズルが海外で解かれることもあるということに驚かれていましたよね。振り返ってみて、どうですか?

ゆーたん今は海外で数独を見ても驚かなくなりました。昔は海外で数独を見たり聞いたりしたとき、すごくびっくりしましたよ。たぶん、当時パズルをやっていた人なら、みんなびっくりしたと思います。これまでせせこましいところで楽しまれていたものが、いきなりワールドワイドになったような感覚です。同じように、これから数独以外のパズルもバンバン世界ではやるとおもしろいなあと思っています

(竹)339さんは、海外に出るようになって、パズルに関してなにか感じたことはありますか?

339うーん、ボクはあんまりそういうのはないですね。いつも自分の作りたいパズルを延々と作り続けている感じです

ゆーたん339さんが生まれて初めて海外に行ったのはいつごろなんですか?

339高校を卒業したあと、親にグランドキャニオンに連れていってもらったのが最初です

ゆーたん早いなあ

(竹)早いうちに海外を経験したから、あまり特別な意識はないのかもしれないですね

339それはあるかもしれません。単純に、ボクが我が道を行く性格だからかもしれませんけど(笑)

(竹)話は変わりますが、国によって好かれるパズル、好かれないパズルってあるんでしょうか?

339国というか生活スタイルの違いで、その人がパズルに費やせる時間の違いはあるなと思っています。たとえばアメリカってクルマ社会じゃないですか。クルマを運転しているあいだはパズルは解けないんですよ。日本だと通勤などで電車を使う人が多いので、電車に乗っている時間だけよけいにパズルにじっくり取り組むことができる。そうすると、アメリカに住む人には短い時間でパパッと解けるパズルのほうが好まれるのかもしれないなあと思います

ゆーたんインドの人たちは、オレみたいにドロドロした解き味の問題が大好きかもしれない。時間もあるし、計算も得意だから。彼らは、たとえば四角に切れで51(17×3)なんかが入っていても余裕だと思います。インド人が四角に切れを作ったら、日本人が作らないような問題を平気で作ってしまうかもしれません。オレたちが見たら、なんだこの3ケタの数、素数なのかなんなのかすらわからない! というような数がたくさん出てくる問題(笑)。そういう国民性の違いはあるのかもしれません。ただの偏見かもしれませんけど

(金)そうですね。私たちは4人ともベースが日本人だから、ほんとうのところはわかりません

(竹)最後になりますが、この先もっと海外にパズルを広めていくため、どんなことをやっていくのがいいでしょうか

339そのあたりは、海外とか日本とかはあまり関係ないんじゃないかなあ。日本国内での活動をそのまま海外に展開すればいいと思います

ゆーたん国民性の違いとかいろいろ考えてきたけれど、問題を作る立場としては、結局は、海外だからとか意識しないでいい問題を目指して作っていくのがいいと思います

(竹)なるほど。ニコリも、国内、海外関係なくよりパズルを広げていくようがんばります。今日はありがとうございました


座談会開催 : 2012年4月 2012年5月11日公開

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