パズル作家座談会 第36回

インタビュー作家座談会

シャカシャカの今

nikoli.comで活躍中の作家とお話する作家座談会のコーナーです。今日のテーマはシャカシャカ。シャカシャカの問題をたくさん作っている戦く小野君さんももてれうさんに集まっていただきました。ニコリスタッフは(金)と(竹)。ももてれうさんもニコリのスタッフなんですが、今回は一作家として参加していますよ。

(竹)シャカシャカが最初に『パズル通信ニコリ』の「オモロパズルのできるまで」に登場したのは2008年。今から5年前ですね。まだまだ新しいパズルです

(金)最初に見たとき、シャカシャカがここまで行けるという予感はありました?

戦く小野君そんな印象はなかったです。ちょうど仕事が忙しい時期で、パズルそのものをあんまり作っていなかったですし。ただ、個人的に時間ができてからは、いろいろなパズルを作っていた中のひとつとして、それなりに作りました

(金)特別扱いではなかったんですね。ももてれうさんは?

ももてれう最初はまったくおもしろさがわからなかったです。シャカシャカと同じころにのりのり(条件を満たすように1マス×2マスの黒マスのカタマリを置いていくパズル)が出てきたんですが、当時はシャカシャカよりものりのりを推していました。シャカシャカに対しては、ちょっとめんどくさいなという気持ちがありました。今までのパズルと毛色が違っていて、経験則が使えないじゃないですか。たとえば、盤面の角に「2」があったとしても、初めてだとちょっと考えないとすぐぬっていいんだと気づきませんでした

(竹)今はシャカシャカに力を入れていますよね。目覚めたきっかけはあったんですか?

ももてれうどの問題だか忘れたんですが、『ニコリ』に載った問題ですごいのがあったんです。ナナメの四角じゃなくタテの四角(三角のマスを含まない、白マスだけでできる四角のことをここではこうよぶことにします)をうまく使った問題で、そういう方向のおもしろさがあるんだと知りました。そのあと、別の本を作るときに、編集部内で問題を作ることになったんです。それで実際に作ってみて、ああやっぱりシャカシャカっておもしろいんだとわかりました。作るのが楽しすぎて、気がついたら朝4時になるくらいまでハマりました。新しい解きかたや展開がどんどん見つかってしまうんですよ。それが楽しくて楽しくて

(金)新しいパズルだから、これはまだやられてなさそうだ、という発見がいっぱいあったんでしょうね

ももてれう新しいといえば、ジャイアントサイズの問題で、最初にナナメ向きに大きく四角が浮き出てくる問題を作ったのは小野さんですよね

戦く小野君そうなんですか?

(竹)あれはインパクトがありました

(金)小野さんが大きな四角を出すようになったあと、別の作家が作った「大きな四角ができると見せかけて実は2つの四角に分かれる」問題をよく見るようになりましたよね

ももてれう「できると見せかけてできない」というのを仕掛けるためには、その前に誰かができるパターンを作って印象づけておかないと伝わりにくいと思います。それを小野さんがやってくれたんだと思います

戦く小野君でも、ネット上で「見え見えだ」と指摘されたこともありましたよ

ももてれうそうそう。それで当時、小野さんから「見え見えなんだけどだいじょうぶですかね?」と聞かれた記憶があります。「いやいや、誰かが最初にやらないと」と答えました

(竹)そのとおりですよね。ももてれうさんは、大きなナナメの四角でなにかやろうという気持ちはありませんよね?

ももてれうはい、ありません

(竹)そのあたり、ふたりは対照的だなあと思います。小野さんは逆に、タテの四角はあまり使わないイメージがあります

戦く小野君まあ、そうですね。ナナメの四角のほうが多いと思います。ただ最近、「この白マスのカタマリで四角を作るためには、このマスは白マスになってはいけない」という解きかたがおもしろくなってきました

(金)その系統だと、ももてれうさんの大好きな解きかたがありますよね。たとえばこういう形ができたときに、

シャカシャカ01

(金)三角マスの壁が一気にできていく

シャカシャカ02

ももてれういいですね。好きです。最初にそれに気づいたのは深夜3時半くらいだったんですけど、いまだに覚えています。その図のあと、さらにできた三角が跳ね返ってくるところがおもしろいですよ

シャカシャカ03

ももてれうこんなに一気に決まるもんなんだ、と

(金)ももてれうさんは、勝手にのびていく展開が好きですよね。ぬりかべでも、スリザーリンクでも。ほかにももてれうさんが好きな解きかたといえば、二択を連鎖させていく展開。カックロの二択をつなげていくような

(竹)こちらかあちらのどちらかにはナナメに四角ができる、という考えかたを派生させてつなげていく解きかたですね

ももてれうシャカシャカではそういうのは無理だと思ったんですけど、いろいろ試してみたらできることに気づきました。見つけたときは感動しました

(竹)小野さんはどんな解きかたが好きですか?

戦く小野君タテの四角を使った解きかたはどれもおもしろいと思います。ナナメの四角に関係するものだと、つなげてしまうと四角にならない、というものが好きです。たとえば、

シャカシャカ04

戦く小野君こういう場面で、右下の三角をつなげてしまうと四角ができなくなるからつながらない、というような

ももてれうシャカシャカの初期からあるちょっと難しい考えかたですね

戦く小野君もっとカンタンなのだと、四角の向かい合う辺どうしを三角マスでのばしていくのが好きです

シャカシャカ05

戦く小野君ただ、これを使うと四角が大きくなりがちなんですよ

(竹)小野さんの問題で、大きいナナメの四角がよく出てくる理由のひとつかもしれませんね

戦く小野君「四角を広げていく」という意味では、向かい合った三角マスどうしの間にマスが1つだけある場合、それらは同じ四角の辺になる、という考えかたも好きです。四角の幅の長さから「2ルート2」と勝手によんでいる考えかたです

シャカシャカ06

(金)この考えかたは気づかれにくいんですよね。実はこの方向だと、もっと難しい解きかたがあるんですよ。パリティ(偶奇性)の考えかたといえばいいのかな。この考えかたを突き詰めていくと、どんどん凶悪な問題を作れます。nikoli.comでは今のところ載せていません

戦く小野君パリティというのは、初めて聞く言葉だなあ

ももてれうボクもよくわかりません

(竹)数学で出てくる概念なのかな。パリティをよくわからないというおふたりが、実際にはとてもおもしろいシャカシャカを作っているというのは、いいことなんだと思います。パズルは学問じゃないですから。パリティはともかくとして、シャカシャカには気づきにくい解きかたは多いかもしれません

戦く小野君自分は最初にシャカシャカを解いたとき、「0のナナメ隣のマスはいつでも三角がぬれる」ということになかなか気づかなかったです

ももてれうさっきも言いましたけど、ボクは角の2から難しかったです。頭の中であれこれ置きかたを試して、ようやく「これしかない」とわかる。始めたころは、あらゆる場面で三角の置きかたを4通り試す勢いでやっていました

戦く小野君4のマスが入り口にならない、というのも最初は戸惑いました

ももてれうそう。ボクもそうでした。作るときも、黒マスに思い切って「4」って入れても、それだけではなにも進まない(笑)。美術館の4と大違いです

(金)シャカシャカには、スリザーリンクの03定理(0と3がタテヨコに隣りあった配置。3のまわりにすぐに線が引けます)みたいなわかりやすい入り口はないのかもしれませんね

ももてれうただ、スリザーリンクも代表的な定理を覚えるまではいろいろと試さないといけませんよね。シャカシャカは、人によっては、代表的な解きかたがわかるまで時間がかかると思うんです。ただ、乗り越えられたら、すごくおもしろくなります

(竹)ももてれうさんも乗り越えた側の人だから言えることなんでしょうね。今後、シャカシャカでやってみたいことはありますか?

戦く小野君解く人の予想を裏切る問題を作りたいです。もっと言うと、裏切るか、予想どおりか、解くまでどっちかわからないようにしたいです

(金)「裏切りの裏切り」は「予想どおり」ですからね

ももてれうシャカシャカはまだ発展途上だと思っています。ボク自身、まだまだわかってない魅力があります。ボクは今のシャカシャカは「タテの四角の時代」だと勝手に思っていますけど、このあと1周して「ナナメの四角の時代」になるかもしれない。これからもいっぱい新しい解きかたを見つけていきたいです

(竹)何年か経ったあと、改めてシャカシャカの座談会をやったらおもしろそうです。今とどのくらい変わっているでしょうね

戦く小野君そのときはぜひまた呼んでください

(竹)ではでは、その日を夢見つつ、本日はお開きにしましょう。ありがとうございました。


座談会開催 : 2013年12月 2014年1月9日公開

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