パズル作家座談会 第40回

インタビュー作家座談会

ヤジリンについて、いろいろと

nikoli.comの問題を作っている作家をおよびしてお話する作家座談会のコーナーです。今回は、ヤジリンをテーマにして、あれこれ語りました。ゲストは、最近おもしろいヤジリンの問題を作っているおふたり、戦く小野君さんとCastyさん。ニコリからは(金)(竹)が参加しました。

(竹)今日はヤジリンについて話しましょう。おふたりともいろいろなパズルをまんべんなく作られていますが、ヤジリンへの思い入れはどのくらいありますか?

戦く小野君嫌いではありませんけど、特別好きなパズルというわけでもありません。暇があれば作ろうか、という感じのパズルです

(金)小野さんらしいお答えですね。Castyさんもそうですか?

Castyそうですね。数あるパズルの中のひとつ、という感じです

(竹)実は、過去のnikoli.comの作家インタビュー座談会を見ても、ヤジリンが特に好きだと宣言した作家はあまりいませんでした。一方で、解く人のあいだでは人気が高いようです。nikoli.comでは、輪っかを作るパズルの中でいちばん「この問題を解いた人」の数が多いんですよ

Castyそうなんですか。ボクは輪っかを作るパズルならましゅがいちばん好きです

(金)ヤジリンと比べて、ましゅのどんなところが好きですか?

Casty解くときのパターンが多いところです。ヤジリンより多いですよね?

(金)たしかに、ましゅのほうが解かせかたは多彩でしょうね

(竹)見方を変えれば、ヤジリンは、珍しい解きかたや難しい解きかたを使わなくても、手がかりをコツコツ探していけば解けるパズルと言えるでしょうか。そのあたりが人気につながっているのかもしれません

戦く小野君作る側の立場から言うと、ヤジリンは問題を作りやすいのがいいところです。作っていて、答えがひとつに決まらなそうな場面が出てきても、数字と矢印を追加すればたいていは回避できます

Castyそうですね。ヤジリンでは、だいたい自分で思い描いたとおりの問題を作れています

(竹)「ここに線を引きたいなあ」とか「ここが黒マスになればなあ」と思ったときに、それを気楽に実現できますもんね

戦く小野君ただ、作りやすいからそのぶん、いい問題を作るのは難しいという感覚もあります。ボクはニコリに投稿を始めた直後くらいからヤジリンの問題を作っていましたが、最初はボツばかりでした。作家のウデが問われるパズルかもしれません

(竹)なるほど。ヤジリンは解きかたの種類が少ないという話が出ましたが、おふたりには好きな解きかたや仕掛けはありますか?

戦く小野君1マスおきに数字を置いて、矢印を全部同じ方向に向ける、という仕掛けをよく使っています

(竹)たとえば、左端から、白マス、←1、白マス、←1、白マス、←2、…と並んでいるような形でしょうか。それぞれの数字によって、その手前の白マスが黒マスになるか線が通るか順に決まっていきます

戦く小野君はい。ボクの中でのスタンダードなパターンです。もともとは、おく山みつゆきさんがよく使っていたと思います。いい仕掛けだと思ったので、自分の問題にもアレンジして使わせてもらいました。この仕掛けを使いはじめてから、ニコリへの掲載率も上がった気がします

Castyボクは、特に好きな解きかたというのはありません。問題ごとに使いたいものを使っています

戦く小野君はたから見ると、Castyさんは線を引いたあとの余ったところに数字で黒マスを置かせるのがうまいと思います。たとえばこんな感じの展開です

ナンバーリンク01

Castyああ、たしかにそういう展開は好きです

(金)Castyさんのヤジリンは、最初の見た目がスカスカなものが多い印象があります。全体的に数字が少ないですよね

Castyそうですか? それは意識していませんでした

(竹)自然にスカスカになっているんですね。小野さんがおっしゃった、余ったところをうまく使う展開が影響しているのかもしれませんね

(金)逆に、数字が多い問題といえば、天歩さんの問題ですよね。ものすごく数字が多い。あのタイプの問題はどう思いますか?

戦く小野君数字をたくさん並べて、文字や形を作ったりしていますよね。パイオニアっぽい感じがして、いいんじゃないでしょうか。ただ、ボクは作りません。数字をむやみに増やすと、最初から埋まっているマスや、なにも考えなくても決まるマスが多くなるじゃないですか

(金)一歩間違えると、スペースの無駄遣いになってしまいますよね。狙いはわかりやすいですけど

(竹)ところで、ヤジリンの解きかたには、初めての人は気づきにくいものが多いですよね

(金)そうですね。私が気づきにくいと思っているのは、盤面の端で、角から4マス離れたところにある2があるパターンです。これを発展させた、7マス離れて3があるパターンもあります

ナンバーリンク03    ナンバーリンク04

(竹)難しい問題で、解くときの入り口としてよく使われているパターンですね

戦く小野君ボクは、4マスの2はともかく、7マスの3は使ったことはないと思います。入り口はわかりやすくしたいですし

Casty7マスの3はボクも使いません

(金)この入り口を使わなければ解けないとすると、どうしても難しい問題という評価になってしまいます

(竹)難しい問題といえば、必要な考えかたはやさしいのに、手が止まってしまうタイプの問題もありますね

(金)線や黒マスですでに埋まっているあたりにぽつんと1つだけ数字のマスがあって、それが遠くのマスに影響している、というタイプですね

戦く小野君遠く離れているところから効いてくる矢印があると、探すのがとてもタイヘンですよね。ボクは作るときにはそういうマスはほとんど作りません。自分が解くとき、そういうのがあるとイライラしてしまうんです(笑)。あえてその方向で難しい問題を作ろうと思ったときは使いますけど

Castyボクも意図的にはやらないようにしています。どうしてもそこに数字を置かないと決まらない、というときにしかたなく置くことはあります

(竹)ちょっと嫌らしい仕掛けかもしれませんね。でも、そんな嫌らしさが好きだ、という人は作る側にも解く側にもたくさんいらっしゃると思います。おふたりは、今後ヤジリンでやってみたいことはありますか?

Casty基本的には、ほかのパズルと同じです。ストレスなく解ける問題を作り続けたいです。ヤジリンに限った話で言うと、端から解けていくことが多いパズルなので、真ん中から解けていく問題を作ってみたいです。作れることは作れるんですけどね。真ん中から解けて、そのうえで楽しく解ける問題を作りたいんです

(竹)Castyさんなら、その条件でもちゃんとおもしろい問題を作れると思います。楽しみにしています

戦く小野君ボクは自分のヤジリンをもっとたくさんnikoli.comに載せたいです。実は、ヤジリンでは自分の作った問題を解いて「これは絶対おもしろい」と確信できたことがまだありません。ほかのパズルだとたまにあるんですよ

(竹)小野さんのヤジリン、おもしろいですよ。小野さんにとっての「理想のヤジリン」のようなものはありますか?

戦く小野君入り口がたくさんあるのに、全体としては難しいというのが理想です。あちこちから埋まっていって全体的にはどんどん埋まるんだけど、解き終わってみたら「難しかったなあ」と思ってもらえるような問題です

(金)富士山みたいなものでしょうか。登山口はいくつもあるけど、山頂までたどりつくのは難しい、という意味で

戦く小野君なるほど、いいたとえですね。富士山に登っていくようなヤジリンを作りたいです

(竹)おふたりの目標が明らかになったところで、今日はお開きにしましょう。これからもヤジリンの問題をいっぱい作ってください。ありがとうございました


座談会開催 : 2014年9月 2014年10月21日公開

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